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三浦とし子議会報告
平成27年12月17日 定例会本会議  代表質問
大阪府議会議事録より転載


○議長(今井豊君) 次に、三浦寿子君を指名いたします。三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 公明党大阪府議会議員団の三浦寿子でございます。  まずは、二期目を迎えられました松井知事に、順次質問をさせていただきます。  さて、松井知事、ハランベーという言葉をお聞きになったことがおありですか。アフリカの女性で初めてノーベル平和賞を受賞し、日本語のもったいないという言葉を環境保全運動を推進する上で世界中に広められ、日本でも有名なケニアの女性環境保護活動家の故ワンガリ・マータイさんのお話ですが、マータイさんは、砂漠化するアフリカに木を植えて、森林保護と農地の保全につなげるグリーンベルト運動を展開し、スワヒリ語のハランベーという言葉を合い言葉に主導され、そのグリーンベルト運動は大きく発展し、環境改善のみならず、ケニアの民主化に大きく貢献されることにもなりました。ハランベーは、みんなで力を合わせて頑張ろうという意味だそうです。  知事は、所信表明で、府内市町村や経済界とも力を合わせて、これからの四年間でその土台を築いてまいりたいとおっしゃっています。府政運営に当たっては、ぜひともハランベーの精神で進めていただきたいと思います。  私たちの会派は、大阪府政の発展の鍵として、大阪単独ではなく、関西広域連合との連携、そして府内四十三市町村との連携強化、また知事、議会との真摯な議論での合意形成、さらに府民、企業の理解と協働、この四点が重要であると考えています。この点を踏まえ、知事の所信表明に対し、会派を代表して、順次知事に提案、質問してまいります。  まず、副首都大阪についてお伺いします。  知事は、さきの所信表明で、首都機能のバックアップとして、また日本の牽引役となるツインエンジンとしての副首都大阪の確立を二期目のミッションに掲げられました。私たちは、かねてから今日の日本の閉塞状況を打ち破り、新たな国づくりのエネルギーを引き出すためには、戦後から高度経済成長期にわたって累々と続いてきた中央集権体制を打破し、地域の特性に合わせた地域主権を確立することが重要であり、我が国第二の大都市である大阪こそが、地域主権時代の先導役、日本の成長をリードする牽引役を果たすべきと訴えてきました。  一方、副首都という概念については、我が国はもとより、諸外国においても類を見ない新たな概念です。そもそも、我が国では、首都そのものが法律上明確にされておらず、さらに副首都となると、そのイメージも人によって千差万別でしょう。副首都を目指す取り組みを進める前に、まずはその目指すべき姿についてオール大阪の関係者の間でしっかりと議論し、そして共有しておかないと、同床異夢となって瓦解してしまうおそれがあります。  したがって、これらの議論を進めるには、有識者のみならず、オール大阪で認識の共有を図ることが不可欠であると考えます。府内市町村や経済界にも参画を求め、オール大阪で検討を進めることが必要です。また、議論を進めるには、府民にも十分説明していくことが大事だと考えます。  これらについて、知事の御見解を伺います。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 公明党大阪府議会議員団を代表されましての三浦議員の御質問にお答えをいたします。  副首都大阪の確立に向けては、まずは副首都の必要性や意義、副首都にふさわしい都市機能や行政機能のあり方などを明らかにする必要があると認識をいたしております。このため、今月二十八日に立ち上げ予定の副首都推進本部において、有識者等の意見を幅広くお伺いするとともに、府内市町村や経済界にも御参画をいただき、中長期的なビジョンや取り組みの方向の議論を深めていただくなど、大阪を挙げて取り組んでまいります。  また、こうした取り組みを進めるに当たっては、府議会はもとより、府民の皆様にも十分御理解いただけるように丁寧に議論を進めてまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 私たちとしては、さきの住民投票に付されましたいわゆる都構想は、既に決着済みとのスタンスですが、住民や民間、市町村も含めたオール大阪の目線に立って、是々非々で議論を行っていきたいと考えております。  次に、大阪発展のための特区制度の活用についてお伺いします。  知事は、大阪発の新たなビジネス、イノベーションを創出するためには、国家戦略特区などを活用し、新たな施策を展開する旨述べられました。私たちの会派も、特区制度を活用し、大阪の発展につなげていくことは重要なことであると常々申し上げてきたところです。これまでも、大型蓄電池のグローバル試験・評価拠点の活用により国際競争力を強化し、その強みを府内の中小企業へ波及されることの重要性や、PMDA関西支部の機能拡充、中小企業の医療機器開発支援、中小企業の治験薬製造等への参入などについて提案してまいりました。  では、今後、特区を活用して具体的にどのような新たな展開を図っていくのでしょうか。  また、大阪の発展のためには、関西全体の発展が必要です。そして、関西の発展の成果を大阪に再び取り込んでいくという循環をつくることが重要です。関西広域連合の一員でもある大阪府として、関西の各地域と連携して特区の活用をさらに進めながら、関西全体の発展に結びつけていくべきではないかと考えますが、あわせて知事に所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 大阪の成長には、イノベーションの絶え間ない創出が必要であります。特区は、有効な手段であり、新たな規制改革提案に取り組んでおります。  例えば、十一月には、大阪大学において革新的医療機器の開発を迅速に進める制度がスタートしました。さらに、医薬品分野への拡大などの取り組みを強力に推し進めていきます。  また、増大するインバウンドの滞在環境を充実するため、外国人滞在施設経営事業を来年四月から開始をします。  このほか、農業分野で、法人の農業参入や農地転用の規制の緩和などによる都市近郊農業の経営のモデルケースを提案しました。ぜひ実現をさせたいと思っています。  地域の成長には、各地域の切磋琢磨、競争が基本と考えていますが、関西全体の発展に結びつく取り組みとしましては、例えば保険外併用療養の特例を活用した事業では、関西圏はもとより、他の地域の医療機関との連携による先進医療の提供、その他の事業においても、特区区域外の企業の参入が可能です。  また、関西広域連合としても、特区の効果を関西に広める取り組みを進めております。  今後も、こうした特区の取り組みを推進し、その成果を関西全体の成長に結びつけてまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 次に、観光施策の推進について伺います。  順調に観光インバウンドが拡大している要因として、大阪府では、民間の視点から都市魅力創造を推進する大阪観光局などの新たな体制の構築、また水都大阪の推進などがあると思います。また、買い物を目当てとした中国からのいわゆる爆買い旅行客の来阪が極めて好調であることもあるでしょう。  しかし、大阪市内を中心としたイベントによる集客や爆買いだけでは、限度があります。  関西は、首都圏に次ぐ国際観光圏であり、外国人観光客を引きつける豊富な歴史文化遺産、豊かな自然、伝統産業から先端産業、また伝統文化や現代文化があります。そして、大阪は、地理的に関西の中心にあって、関西国際空港や鉄道網などのインフラによって関西一円のそれらコンテンツに容易にアクセス可能な位置にあり、観光客を迎える地域のホスピタリティーがあります。  さきに質問した産業振興と同様に、観光振興においても、関西の発展なくして大阪の発展はありません。関西広域連合においても、関西ワールドマスターズゲームズ二〇二一が開催される二〇二一年までの期間を見据えた関西観光・文化振興計画が策定されています。今後は、さらに多言語対応の強化や情報を入手しやすい環境整備、観光案内機能の充実など、観光インバウンドの環境整備の必要があると考えられます。  今後、大阪府が、観光においてさらなるプレゼンスを発揮していくためには、国や関西各府県と連携した上で、府内各地の発展の視点を含めて、国内外からの集客の取り組みを強化していくことが大変重要であると考えます。  知事は、所信表明において二〇二〇年に来阪外国人旅行者数六百五十万人という目標を上方修正するなど、さらに高い目標を掲げて施策を推進していく旨述べられております。そこで、今後どのくらいの目標を掲げ、それを達成するためにどのように取り組んでいかれるのでしょうか、知事のお考えをお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 来阪外国人旅行者数は、ことしの一月から九月までの推計でも五百二十五万人と急増をしており、大阪の観光戦略において定めた二〇二〇年の目標六百五十万人をことしで既に達成する勢いとなっております。こうしたインバウンドの動向や、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催なども踏まえ、一千万人を上回る数値を念頭に二〇二〇年の数値目標を上方修正すべく検討してまいります。  また、目標を達成するために、世界に通用する魅力的な観光資源づくりや安心かつ快適に滞在いただける受け入れ環境の整備とともに、大阪観光局において効果的な海外プロモーションの展開を図るなど、大阪のさらなる成長に資するように戦略的に取り組んでまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 次に、中三チャレンジテストの補正予算の議案に関連してお尋ねします。  ことしの九月議会前半の定例会で、私たちの会派として、ここ数年、大阪府の公立高校の入学者選抜制度がしばしば変更されていることが、大阪の子どもたちの負担になっていることを指摘するとともに、高校入試は、多くの子どもたちにとって初めて経験する大切なチャレンジであり、子どもたちが安心して入試を受けるためには、今後の入学者選抜制度を安定した制度とすることが必要ではないかと教育長にお聞きいたしました。  これに対し、教育長からは、この間の選抜制度における数次の改正が、保護者、中学校、市町村教育委員会に負担をかけたことを認められた上で、今後の入学者選抜制度の検討に当たっては、生徒の皆さんに安心して高校を受験していただくため、安定した制度を目指して取り組んでいくという御答弁をいただきました。  補正予算の資料によると、中学三年生で新たにチャレンジテストを実施するとのことですが、まずこのテストの実施を決定された経緯についてお伺いします。  また、このテストを実施するのであれば、ことしの中学二年生が受験する平成二十九年度入試から活用することになると思いますが、このことにより、現場の先生方の進路指導の予定が大きく変更されたり、子どもたちや教員の負担が増加したりすることはないのでしょうか、教育長の御所見をあわせてお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 教育長向井正博君。

◎教育委員会教育長(向井正博君) 中学三年生でのチャレンジテストの実施につきましてお答えをいたします。  入学者選抜の調査書評定を絶対評価で行うに当たりまして、各中学校における評定の公平性を確実に担保するため、府内統一ルールが必要と考えております。そのため、平成二十八年度選抜におきましては、府内統一ルールの客観的指標として、府民の間で信頼の高い全国学力・学習状況調査を用いることといたしました。  その後、文部科学省から、全国学力・学習状況調査の結果を入学者選抜に活用することは、調査の趣旨を逸脱するおそれがあるとの指摘があり、この間、文部科学省と協議を続けてまいりました。  しかしながら、平成二十九年度以降の入学者選抜における府内統一ルールに、全国学力・学習状況調査の結果を用いることが難しいと見込まれる状況となりましたことから、十月二十七日に市町村教育委員会の教育長にお集まりをいただきまして、平成二十九年度以降の府内統一ルールについて御意見をお伺いしました。そして、十一月二十四日には、文部科学省から、来年度の全国学力・学習状況調査の実施要領に、調査結果を入学者選抜の資料として活用することはできない旨を明記するとの考え方が示されたところでございます。  大阪府教育委員会といたしましては、大阪府議会での御議論、また市町村教育委員会の御意見を踏まえまして検討を重ねてまいりました。このたび、平成二十九年度以降も、引き続き評定の公平性を担保するため、全国学力・学習状況調査にかえまして、中学三年生のチャレンジテストの結果を活用することといたしました。  中学三年生のチャレンジテストは、六月の下旬に実施をすることといたしておりますが、従来からこの時期には実力テストを実施しております中学校も多いとお聞きをしておりまして、このチャレンジテストを各学校の実力テストとして位置づけていただければと考えております。  また、各学校の進路指導におきましても、次年度以降も本年度と同じスケジュールで対応していただくことが可能となるものでございます。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 知事が所信表明で言われた次の時代の大阪を担う子どもたちを育むためには、全国学力・学習状況調査への取り組みも含め、学力向上の取り組みも大変重要です。  さらに、学力のみならず、いじめ対応や体力向上、英語教育の早期化など、子どもたちをめぐる教育課題は山積しています。支援を必要とする小中学校での教員の加配、また全中学校への生徒指導専任教員の配置ができるよう生徒指導機能を充実するための制度がぜひとも必要です。これらの教育課題にもしっかり対応していただくよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。  次に、安全安心を守る施策についてお伺いします。  知事は、所信表明で、市町村と連携しながら、府民の皆様の暮らしの安全安心を守る施策を推進し、治安のさらなる向上にも取り組む旨述べられました。  私たちの会派は、さきの代表質問で知事に質問し、寝屋川での中学生殺害事件のような事件が二度と起こらないよう犯罪抑止対策として、千葉県のコンビニ防犯ボックスの取り組みを紹介し、地域の防犯体制の強化を訴えました。この千葉県の防犯ボックスは、コンビニの駐車場などに設置した防犯ボックスで、まず二カ所に設置され、今年度はさらに二カ所増設されるとお聞きしております。防犯ボックスの周辺では、侵入盗などを初め各種犯罪の減少効果のほか、専門的知識を有する警察官OBの配置により、合同パトロール等の機会に防犯指導を実施でき、住民の安心感や行政との連携が深まる効果が認められています。さきの代表質問の内容を知った寝屋川市の主婦の方から新聞への投稿でも、コンビニ防犯ボックスの設置を切望する声が上がっています。  大阪府においても、警察や市町村など関係機関と十分連携して、住民に身近なところで安心感を与える防犯ボックスの設置などの地域防犯活動拠点の整備を促進し、引き続き地域の防犯強化にしっかり取り組んでいただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 子どもを初めとする地域での見守り機能については、現在進めています地域安全センターなどの防犯活動拠点の整備をスピード感を持って促進いたします。  お示しの防犯ボックスについては、千葉県での取り組み状況などをしっかりと調査、検証してまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) よろしくお願いいたします。  大阪府では、市町村を通じて自治会等が通学路に設置する防犯カメラの補助事業を実施していますが、この事業は、平成二十八年度までと伺っています。最近は、地域住民からの防犯カメラ設置要望の高まりを受けて、市町村みずから幹線道路や通学路に設置を進めていますが、大阪府に対して防犯カメラ設置に係る支援を求める声を私たちも直接お聞きしています。  私たちの会派は、地域の安全と防犯には、防犯カメラの設置を引き続き促進していくことが大事であると考えています。  大阪府として、大阪の治安対策を先導していく立場から、地域における防犯カメラの設置に対し、平成二十九年度以降、新たな制度を設計し、支援していくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 防犯カメラにつきましては、市町村との役割分担を踏まえつつ、府として必要な支援に努め、通学路を初め地域により多く設置できる制度を府内の全市町村に設けていただくように取り組んでまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 積極的な取り組みをよろしくお願いします。  次に、公民連携施策の拡充についてお伺いします。  知事は、所信表明において、今後も公民連携を進めることを表明されました。社会が複雑化、多様化する中、地域住民のニーズや社会課題も多様化、深刻化しており、従来のように行政が進めてきた事業を淡々と行うだけでは、課題を解決し、府民の期待にお応えできるような状況にはなっておりません。  こうした時代にあって、私たちの会派は、行政だけではなかなか解決できない課題も、企業等の力をおかりし連携して取り組むことによって、これまでの何倍も効果的に府の事業費をかけずに課題解決が実現することができるのではないかという観点に立ち、公民連携の必要性を訴えてきました。  これを受け、府では、今年度から、全国の都道府県で初となる公民戦略連携デスクを財務部行政改革課の中に設置し、このデスクが企業と府庁内の各部局をつなぎながら、高齢者の雇用や見守り、若者就業困難者の雇用、障がい者の就労支援などさまざまな取り組みをこのわずか半年ほどの間に次々と実現しています。  特に去る九月に締結したコンビニ大手四社との高齢者にやさしい地域づくり推進協定は、認知症に伴う徘回で行方不明となる高齢者に声かけなどを行うことで防止するなど、認知症高齢者を府下約三千五百店舗という圧倒的社会インフラとなったコンビニで実施する全国初の取り組みとして注目を集めています。  今後も、地域や府民のニーズを反映させ、大阪府下の企業、NPO団体、金融機関、大学等と連携しながら、社会課題の解決を図るべく、また住みやすいまちづくりを実現するため、企業等からの提案がふえるよう工夫していただき、公民連携の取り組みを積極的に進めるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 公民連携については、本年四月にデスクを設置して以来、半年余りの間に教育、福祉、雇用などの面でさまざまな取り組みを進めてまいりました。特にコンビニエンスストアとの連携では、元気な高齢者が働くことにより、支えられる側ではなく、支える側になっていただけることで、大阪の経済にとってもプラスになる。引き続き、企業等に積極的にアプローチをし、力をおかりしていくつもりです。  今後も、デスクが旗振り役を担いながら、府庁全体が意識を変え、公民双方がウイン・ウインとなるような具体的な取り組みをスピード感を持って進めてまいります。そして、大阪だけでなく、全国に発信できるように積極的に取り組んでいきます。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 次に、婚活、子育て支援の取り組みについて伺います。  二〇一四年の出生数推計では、百万一千人と過去最少、年間の自然増減数推計も、二十六万八千人の自然減となるなど、我が国の少子化の進行、人口減少は深刻さを増しています。少子化社会は、地域、企業にとっても、地域・社会の担い手の減少、また現役世代の負担増加、経済や市場の規模の縮小や経済成長率の低下など個人、地域、企業に至るまで多大な影響を及ぼします。現在の少子化の状況は、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的な状況にあると言えます。国も、希望出生率を一・八とし、解決に全力を挙げていくことを表明しています。  このたび、私たちの会派は、特に少子化対策に力を入れている埼玉県、広島県、高知県を訪問し、この問題について各府県の取り組みを調査してまいりました。  例えば、埼玉県では、結婚を希望する独身者に出会いの機会を提供するSAITAMA婚活コミッション事業、こういう事業により結婚支援イベントの経費の一部を補助したり、また各種団体と連携し、イベントや結婚相談事業を共同実施しています。特に今年度から、保育所等に入所する第三子以降の児童の保育料を無料化し、多子世帯の経済的負担を軽減しているところです。  また、広島県では、地域で婚活支援活動をしているいわゆるおせっかいおばさんの団体をひろしま出会いサポーターズに任命し、活動に要する費用を助成するほか、交流会等を毎月実施しています。特に夫婦そろって行う不妊検査に助成を行っており、早い段階からの治療開始と男性側の不妊治療を促進しています。  最後に、高知県でも、出生率と推計人口に具体的な数字目標を掲げ、結婚、妊娠、出産、子育ての希望をかなえようと努力しています。  大阪府においても、他府県の先進的な取り組みを研究し、少子化の現状、課題を踏まえ、戦略的な婚活や子育て支援を推進することが重要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 本府の合計特殊出生率は、六月の国の発表では一・三一で、十年前の一・二一に比べると改善はしているものの、全国を下回る水準です。これまでの取り組みをさらに進め、女性や若者の就職や結婚、妊娠、出産や子育ての希望を実現していく必要があると認識をいたしております。  このため、今年度創設した新子育て支援交付金を活用し、府内市町村の子育て支援施策の底上げ、特色ある取り組みの支援を図るとともに、認定こども園への移行への支援や、保育士確保の観点から地域限定保育士試験を実施するなど、大阪の保育の質、量の拡充に努めております。  また、安心して妊娠、出産できるように医療体制の整備を初め、さまざまなリスクを抱える妊婦の早期からの支援、産前産後の切れ目ないサポート体制の整備など市町村と連携して取り組みを進めております。  結婚の支援については、婚活や子育てに関するフォーラムの開催、官民が有する結婚から子育てに関するさまざまな情報を提供するポータルサイトの開設など、社会全体で応援する機運の醸成と情報提供に努めております。  大阪では、依然待機児童や小一の壁など課題があることから、府民の子育ての負担感の解消に向け、他府県の事例も参考にしながら、より効果的な支援方策を見きわめてまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 先ほども申し上げましたが、他府県で少子化対策に力を入れているところでは、婚活や多子世帯の負担軽減など一歩踏み込んだ取り組みをされております。  大阪府でも、大都市だから安心せず、少子化対策を総合的に推進する部署を設けるくらいの危機感を持って、知事のトップダウンで一歩踏み込んだ取り組みを進めるべきだと考えますが、再度知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 少子化対策が、喫緊の課題だという認識は同じです。このため、結婚、出産、子育ての希望の実現に向けて、本年三月に策定をいたしました子ども総合計画に基づき、待機児童対策を初めとする子育て支援施策の充実を図るとともに、引き続き関係部局連携のもと、施策を総動員して取り組みを進めてまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 少子化対策というのは、喫緊の課題ということで、今知事のほうから、関係部局の連携のもと施策を総動員して取り組みを進めていくというお言葉を伺いました。ぜひとも、所信表明にあるように、一人一人の就職、結婚、出産、子育ての希望をかなえていける、そういう施策をしっかりやっていただきたいと思います。  こういった少子化対策、本当に重要な課題でございますので、本件につきましても、引き続き二月議会で議論したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  知事は、所信表明において、女性や若者が活躍するための環境整備を進める旨述べられています。私たちの会派も、これまでも大阪の女性の活躍推進に向けた実効性のある戦略を考えるべきであり、オール大阪でその機運を高めるためには、まずは知事みずからが先頭に立ち、大阪の女性が元気で輝くことができる共同アピールをすべきであると本会議で提案してきました。そして、ことし七月に、大阪府、大阪労働局等で構成するOSAKA女性活躍推進会議が設置され、九月に記念イベントにおいて女性が輝くOSAKA行動宣言が発表されたところです。  今後は、女性のキャリア形成支援や男女ともに仕事と家庭を両立できることなど、宣言の内容に沿った取り組みを各分野で実行できるよう大阪府として先導的な取り組みが求められます。  まず、女性が社会で活躍するため、女性のキャリア形成へのプログラムの開発、女性の起業家への支援、またリスクを抱える女性への就労や自立支援、さらに地域での女性の活躍に向けたエンパワメント事業など、各部局で連携して取り組むべきと考えますが、知事の御所見はいかがでしょうか。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 女性の活躍する環境整備を一層進めるためには、きめ細かな就業支援が重要であります。  本府においては、本年六月、関係部局による連携会議を設置し、就業支援や男女共同参画、子育て支援など女性の活躍を推進するさまざまな施策をより一体的、効果的に実施しております。  今後も、従来の就業支援に加え、例えば中小企業に就業した後の定着支援や多様な働き方を実現できる起業支援、さらに仕事と子育ての両立を初めさまざまな困難を抱えている女性の就業支援など、OSAKAしごとフィールドを軸として大阪府を挙げて女性が働く環境整備に取り組んでまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 女性がその個性や力を社会で生かすためには、子育て支援など働く環境を整備することが不可欠です。既に多くの企業が取り組んでいるものの、中小企業が多い大阪での機運醸成や組織トップを初めとする意識改革には、経済界の協力が欠かせません。  男性の家事、育児参加についても、意識改革が必要です。日本の男性の家事、育児時間にかかわる国際比較では、六歳未満の子どもを持つ夫の家事、育児時間は、一日平均一時間程度となっており、欧米諸国と比べて三分の一程度にすぎません。  また、子どもがいる夫婦に対する夫の休日における家事、育児時間と第二子の出生状況の調査では、夫の家事、育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高くなっています。  しかし、日本の男性の労働時間は、子育て期にある三十代男性については、約五人に一人が週六十時間以上の長時間労働となっています。  こういったことから、職場でともに働く部下のワーク・ライフ・バランスを考え、キャリアと人生を応援しながら組織の業績も結果も出す、そしてみずからも仕事と私生活を楽しむイクボスの存在が大変重要だと考えます。  今後、イクボスの育成などに取り組む企業をもっとふやしていくことが必要だと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 男女が、ともに子育てをしながら働き続けることができるようにOSAKA女性活躍推進会議を立ち上げ、産官学が協働し、職場の労働環境の整備を初め働き方の見直しなどワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでまいりました。  現在、男女いきいき・元気宣言の事業者登録を進めていますが、とりわけトップがイクボスの場合、イクボスの育成等に先進的に取り組む企業を取り上げ、さまざまな機会を活用して紹介するなど推進会議の構成団体等と連携をしながら、女性が活躍できるための環境整備に取り組んでまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 女性の活躍を推進することは、結局は少子化対策につながるものと考えます。知事を初め大阪府の積極的な取り組みをお願いします。また、大阪府の幹部職員の皆様も、ぜひイクボス目指して頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ところで、ことし八月、女性活躍推進法が成立しましたが、大阪府も一事業主として、この法律の規定を踏まえ、行動計画の策定等をしなければなりません。地方公共団体として、大阪府域の先頭に立って府内の一般事業主をリードし、積極的に女性職員の活躍を推進していくことが求められます。大阪府が、一事業主として府内の事業主の方々に対し率先垂範する観点からも、大阪府庁内における女性活躍推進の環境整備を進めるに当たり、府民の皆さんにわかりやすい形で担当を明確にした上で推進組織を構築することが必要不可欠であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 庁内の女性職員の活躍推進を図る観点から、特定事業主行動計画については、今年度末を目途に、現在、策定作業を進めています。  今後、この計画に基づき、女性職員の個性と能力をさらに引き出し、活力あふれる組織を実現するために、人事全般を所管する総務部を中心に、関係部局による連携体制を構築し、全庁一丸となった取り組みを進めてまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) よろしくお願いします。  最後に、都市格についてお伺いします。  知事は、所信表明で、大阪の都市格の向上と述べられております。  都市格という概念には、明確な定義はないようですが、第十九代大阪府知事であった中川望氏が、一九二五年に大阪都市協会の設立記念講演会で論じたものが始まりであると言われています。中川元知事は、この都市格の概念について、一個の人間の人格に相当するものとし、個人の人格形成に必要であるように、都市においても教育機関や質の高い文化施設等が必要である旨訴えています。中川元知事の時代の大阪は、明治以来、日本の商工業の中心となる都市として経済的な成功をおさめ、大阪市が多くの町村編入により市域を拡大して大大阪、東洋のマンチェスターと呼ばれ、活性化していた時代でした。経済活動や生産活動において成功していた時期にも、さきに挙げたような、言うならば精神的なものの充実に配慮した都市の理念が重要であると中川元知事は考えていたのです。  その後、都市格の概念は、近年になって広く政財界や都市問題研究者の関心を集め、それぞれの論者でさまざまな構成要素が考えられるようになりました。  そこで、私は、都市格について、都市の持つ市場や産業集積などの経済力、研究開発力、歴史や文化、景観、住民による地域社会の存在やネットワーク、環境や居住性、情報、交通アクセス等のインフラの整備状況などさまざまなものが影響を与えながら総合的に構成されるものであり、要約すれば、人々が住みたいと願うまち、企業が立地したいと思うまちになるのではないかと考えます。  では、知事のお考えになる都市格とは、どのようなものでしょうか、御所見をお伺いします。

○議長(今井豊君) 知事松井一郎君。

◎知事(松井一郎君) 本府では、成長戦略の推進により、世界で存在感を発揮する都市を目指し、取り組みを進めているところです。私が考える都市格とは、国内外から人や企業が訪れたい、暮らしたい、ここで仕事をしたいと集まり、交流することで、新たな価値が生み出される、さらには住民の皆様が日々の暮らしの中で豊かさを実感できる総合的に都市としての魅力ある個性や特性であります。  大阪には、企業や研究機関の集積など経済機能が充実していることや、交通インフラが整備されているといった強みがあり、また教育力やみどり豊かな環境、近代建築物や食文化を初めとする文化資産などもあります。こうした大阪の強みや個性を生かしながら、全ての要素の相乗効果によって、大阪らしい都市としての魅力を高めていくべきと考えています。経済界や市町村と連携をし、府民の皆様の御協力をいただき、目指す副首都大阪にふさわしい都市格向上を図ってまいります。

○議長(今井豊君) 三浦寿子君。

◆(三浦寿子君) 今知事の都市格についてのお考えを伺いました。しかし、残念ながら知事の所信表明の中では、文化について触れられていませんでした。私たちの会派では、この文化が都市格の概念の中でも特に重要なものではないかと考えています。  文化は、人々の中で生まれ育ち、そして次の世代へ受け継がれていくもので、先人たちが培ってきた歴史の上に今を生きる私たちの生活が成立しているのです。それは、必ずしもお金を生み出さないかもしれませんが、時を越え、場所を超えて人と人をつなぎ、人の心を豊かにします。地域の風習や伝統芸なども文化の要素であって、公で守るべきものは守り、次世代へ引き継いでいくことが大切であると考えています。  大阪について、さきに掲げました都市格について考えるとき、森記念財団の世界の都市総合ランキング二〇一五を参考にしますと、大阪は、研究開発、また居住においては比較的上位にランクされていますが、文化交流、環境、交通アクセスでは下位に甘んじています。大阪における文化、地域には、高いポテンシャルが秘められていると思いますが、それらが十分に生かされていないのではないでしょうか。  現在、大阪は、経済の低迷により苦しい時期が続いていますが、こういう時代であるからこそ、中川元知事の精神を思い起こし、都市格の向上には、文化の振興が極めて重要であることを強く指摘しておきたいと思います。  二期目を迎えられた松井知事の今後四年間に対する所信表明に対し、府政が直面する課題について順次質問させていただきました。二月定例会では、新年度予算案の御説明をお伺いし、大阪府政発展のため、個々の具体策をどのように推進されようとしていくのかを確認させていただき、じっくり議論してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○議長(今井豊君) 以上で、通告の質問並びに質疑は終わりました。