![]() |
![]() |
![]() |
平成27年2月 定例会本会議 第二号 三月十日(火) |
大阪府議会議事録より転載 |
午前十時二分再開 ○委員長(内海久子君) ただいまより健康福祉常任委員会を再開し、質疑質問を続行いたします。 通告により三浦寿子委員を指名いたします。三浦委員。 ◆(三浦寿子君) おはようございます。公明党大阪府会議員団の三浦寿子でございます。 私のほうからは、小児救急電話相談事業ほか二点について質問させていただきます。 まず初めに、小児救急電話相談事業についてでございますが、この事業、小児救急電話相談事業、♯八〇〇〇番は、夜間の子どもの急病時、病院へ行ったほうがよいかどうか、また応急処置の方法など、保護者の判断の参考とするため、小児科医の支援体制のもと、看護師さんが相談対応を行う事業であり、大阪府のほうでは、年中無休で午後八時から翌日の午前八時、十二時間受け付け対応で実施されているという事業でございます。 また、この事業は、今、少子化で、育児の相談相手が身近にいない、またそういう状況の中で、若いお父さん、お母さんの不安の解消に役立っているのではないか、また電話相談の大半が家庭での応急処置で解決していることで、救急車の要請減少や医療費の抑制にもつながっているというふうに伺っております。 こういったよい事業でございますが、これまで府民の方から電話がつながらないとの声を受け、我が党から、相談が開始する特に夜八時から電話が集中する数時間について体制強化を図ることを提案し、平成二十五年九月二十五日より、夜八時から十一時について、相談員を二名から三名に増員していただいたところです。その結果、夜八時から十一時の時間帯での相談件数が増加し、さらにテレビ取材の反響などにより、府民へのPRも広まりつつある中、全体としても相談件数が増加傾向にあると聞いております。体制強化も図ったことで相談件数はどのようになっているのか、過去の実績も含め、相談件数の推移について伺います。 ◎医療対策課長(永井仁美君) 小児救急電話相談事業の過去五年間の相談件数は、平成二十一年が四万二千四百三十件、平成二十二年度が四万八百七十五件、平成二十三年度が四万三百六十三件、平成二十四年度が三万七千六百八十件、平成二十五年度が四万百六十件でございます。平成二十一年度は新型インフルエンザの発生による影響が大きいと考えられますが、相談件数はおおむね年四万件程度となっております。 また、相談員の体制でございますが、以前は年末年始などの繁忙期を除いて二名で対応しておりましたが、とりわけ夜八時から十一時の時間帯で電話がつながりにくいとの声に応えるため、平成二十五年九月よりその時間帯を三名体制に強化しました。 平成二十五年度につきまして、増員前の平成二十四年の同時期、十月から翌の三月の六カ月間でございますが、これと比較いたしますと、三名体制としている夜八時から十一時までの件数は千八百件の大幅に増加しております。また、平成二十六年四月から十二月までの実績につきましても、二十五年度同時期と比較すると全体で約四千件増加をしております。 ◆(三浦寿子君) 今の御答弁にありましたように、特に電話がつながりにくいとの声があった時間帯での相談件数が増加し、体制強化の効果は十分にあったと考えられます。また、先般、我が党の石川参議院議員と藤村府議会議員が実際の相談現場を視察に行った際には、ひっきりなしに電話がかかり、相談員が休む間もなく対応されている現場を目の当たりにされ、両議員とも、この事業は非常に大事であると感心されていたようでございます。 しかし、夜八時から十一時までの間、三名に増員しても話し中となることが多いとも聞いております。保護者等の不安の解消を初め、適切な受診行動を促すことで、夜間の初期診療所や二次救急病院への患者集中を緩和し、救急医療に従事する医師の負担軽減にも、先ほども言いましたように、こういった事業はしっかり負担軽減にもつながるということになりますので、この事業をさらに拡充させていく必要があると思います。 府民のニーズに応えられるよう、さらなる体制の強化を初め、小児救急に関する専門知識等の電話対応のスキルを要する相談員の確保、待遇改善も必要かと思うのですが、府としてどのように考えておられるのでしょうか。 ◎医療対策課長(永井仁美君) 現状の課題といたしましては、やはり相談が集中する時間帯では依然として電話がつながりにくいとの声がございます。体制強化を図って約一年半になりますけれども、能力の高い相談員の確保を含めたさらなる体制の充実については、月ごとの相談件数や時間帯ごとの相談件数などの事業実績を初め、ほかの都道府県における運営状況等も踏まえながら、今後、検討が必要と考えております。 ◆(三浦寿子君) 少子化が進行しているとはいえ、核家族化の中、子どもを持つ保護者等の不安解消や救急医療の適正な利用につなげるというこの事業が果たす役割は大変大きいと思います。 国の実態調査研究によると、話し中により相談対応できなかった件数を把握している府県もあり、大阪府においても、府民からの生の声だけではなく、さらにどれくらいの潜在的なニーズがあるのか、また実態をデータとして把握し、今後の運営につなげていく必要があるのではないでしょうか。話し中などにより、相談対応ができなかった件数を調べるためには新たに機械等を設置する必要があり、コストの問題もあるとは思いますが、そのような実態掌握のための取り組みについても検討していただきたいと思います。 また、全国的に見ても大阪府は質の高い相談対応ができていると思っておりますが、それはひとえに相談員さんのそれぞれの頑張りがあってこそと思います。相談件数が増加している中、相談員お一人お一人の負担も増加しているでしょうから、日々府民のために頑張っておられる相談員の皆さんの待遇改善についても、今後、前向きに検討されることを要望しておきます。 続きまして、訪問看護ステーションの機能強化と訪問看護師の資質向上について伺います。 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年には、三人に一人が六十五歳以上、五人に一人が七十五歳以上になると言われております。このように、今後、高齢化社会が進んでいくということは、医療や介護を必要とする在宅療養者の方もますますふえていくことになります。 しかしながら、平成二十五年度の大阪府訪問看護ステーション実態調査によれば、常勤換算看護職員数が五人未満の小規模の事業所が全体の六割を占めており、また現在の看護職員数では応じられない等の理由から、利用者からのサービス提供依頼を断ったことがある事業者も七割に上っています。 訪問看護の利用者数は今後もさらに伸びていくと予想される中、利用者のニーズにも応えていくためには、訪問看護師を確保することはもちろんですが、それには訪問看護ステーションの機能を強化することが必要ではないかと考えますが、大阪府としてどのような取り組みをされているのでしょうか。 ◎保健医療企画課長(西野誠君) 訪問看護ステーションの安定的な運営を図るためには、訪問看護ステーションの規模拡大、機能強化が重要であると認識しております。 このため、本府では、今年度から地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、新たに訪問看護相互連携補助事業を創設いたしました。この事業は、訪問看護ステーション同士が連携をして、夜間、緊急時等に対応するオンコール体制の整備や、患者の急変時などにも医療機関や介護事業者と即時に連携、対応できるよう、タブレット端末等を用いた情報共有システムを導入するなど、相互に連携を図る訪問看護ステーションに対して補助するものでございます。 このような相互連携を通じまして、小規模の訪問看護ステーションの業務の効率化や規模の拡大を図り、利用者数の増加や人材の確保によりまして、訪問看護ステーションの機能強化を図ってまいります。 ◆(三浦寿子君) ぜひ、小規模な訪問看護ステーションが訪問看護相互連携事業を活用し、訪問看護ステーション同士の連携や規模拡大が図れるよう期待しています。というのも、やはり今、実態としては、大規模病院の訪問看護ステーションというのはすごく地元でも多いんですけれど、小規模な訪問看護ステーションがあることによって、身近なサービス提供というか、やはり距離が離れていない分、対応が早いのではないかと私は期待しております。ぜひこの事業をしっかり取り組んでいただきたいと思います。 また、次に、訪問看護を必要とする方の増加に伴い、医療依存度の高い患者や難病、がん、小児などのいわゆるさまざまな医療的ケアが必要な在宅患者が増加しております。また、今後、病院中心の医療から地域、在宅へと移行される中、在宅でのみとりも大変多くなっておりまして、そういう意味でも在宅での患者さんのニーズが多様化しているのではないかと思います。そういう意味で、訪問看護師の担う役割というのは非常に大きいのではないかと考えております。 そこで、これらに対応できる質の高い訪問看護師の育成が必要であると考えますが、大阪府の取り組みをお聞きいたします。 ◎保健医療企画課長(西野誠君) 訪問看護の現場では、在宅医療を受ける患者への人工呼吸器管理や末期がん患者に対するターミナルケアなどといった専門的な看護技術が求められております。このため、本府では、本年一月から大阪府訪問看護ステーション協会におきまして、専門的な知識を有する看護師が訪問看護師と現場に同行訪問をいたし、実践的な指導助言などを行う研修事業に対して補助を行っているところでございます。 また、今年度、府内三カ所に地域の中核となる訪問看護教育ステーションを設置し、訪問看護師に対する知識や経験等に応じた実践的な研修、訪問看護に関する相談や情報提供を行っております。このほか、教育ステーションでは、介護事業所や地域包括支援センター等との連携や情報交換を行い、身近な地域で訪問看護師の資質向上及びサービス向上を図れる体制を整備いたしました。来年度、府内全域をカバーするため、十一カ所に展開してまいります。 引き続き、地域医療介護相互確保基金などを活用いたしまして、質の高い訪問看護師の育成と訪問看護ステーションの機能強化を図ってまいります。 ◆(三浦寿子君) 今後ますます増大する訪問看護への対応には、訪問看護ステーションの機能強化の側面と、そこで働く訪問看護師の資質向上の側面の両方から支援していくということですが、これらの事業が効果的に行われ、大阪が全国一訪問看護サービスが充実していると言われるよう、大阪府としてしっかりこの訪問看護を推進していくよう、よろしくお願いいたします。 続きまして、若年認知症の課題について伺います。 先般、厚生労働省から、二〇二五年には我が国の認知症高齢者数が七百万人にもなるという推計が示され、認知症対策は超高齢社会における最重要課題の一つであると言えます。しかし、認知症は高齢者だけの病気ではなく、六十四歳以下で発生することもあり、六十四歳以下で発症する場合は若年性認知症と言われ、その数は全国で約三万八千人と推計されています。 比較的若い世代で発症する若年性認知症は、高齢者とは違った課題があると思われますが、大阪府内に若年性認知症の方はどれぐらいおられ、どのような課題があると認識されているのか、介護支援課長に伺います。 ◎介護支援課長(植木堅二君) 若年性認知症の方の人数でございますが、平成二十一年三月に厚生労働省から発表されましたデータによりますと、十八歳から六十四歳までの人口十万人当たり四十七・六人となってございます。それを平成二十二年の国勢調査の人口に当てはめますと、大阪府内における若年性認知症の方の人数は約二千五百人と推計いたしております。 若年性認知症の課題といたしましては、本人や周囲が何らかの異常には気づくものの、受診がおくれることが多いこと、また働き盛りの年代で発症することから、就労や生活費、子どもの教育費などの経済的な問題が大きいこと、本人や配偶者の親の介護と重なり、複数介護となる場合があること、地域包括支援センターなど支援する側にノウハウが蓄積されていないことなどの課題があると認識をしております。 ◆(三浦寿子君) 家族の誰かが認知症になると、認知症の家族の方は戸惑いや不安、混乱などに陥ります。特に若年性認知症の方の家族の場合は、先ほど御答弁いただいたとおり、認知症高齢者の家族とは違った課題があり、不安も大きいと思います。 そうした不安を抱える家族などの介護者がお互いに交流することは、在宅で認知症介護を続ける支えになると考えますが、府内における若年性認知症の方の介護者の交流について、介護支援課長に伺います。 ◎介護支援課長(植木堅二君) 委員お示しのとおり、認知症についてさまざまな不安を抱える介護者がお互いに交流をすることは、病気のことや生活上の困り事などを話し合ったりしながら、お互いの経験を共有したり、介護に関するさまざまな情報を交換する有意義な機会でございます。また、本人や家族の方が交流で知り合った方々と外出や音楽などの余暇を楽しむ活動を行うことによりつながりを深めることが、在宅での認知症介護を続ける支えになるものと考えてございます。 こういった若年性認知症の方や家族などの介護者が交流できる場が府内の十二カ所で設置されているところでございます。 ◆(三浦寿子君) 若年性認知症は、発症年齢が若い、男性に比較的多い、若年性認知症に対する認識が不足し、鑑別診断される前に症状が進行し、社会生活が事実上困難となるケースが多いと伺います。こういったことから、就業に対する情報提供や経済的な問題に関する相談も多いと伺います。また、若年性認知症の方への支援は、医療、介護、福祉のみならず、就労支援など多岐にわたり、一貫した対応が難しいのではないかと考えます。そのためにも、地域包括支援センターなどの相談支援機能の充実やコールセンターでの適切な対応が求められるところです。 また、若年性認知症お一人お一人、その状況に応じた適切な支援を受けることができる体制づくりのためには、地域の関係機関の連携支援や、認知症の方や家族の相談支援を行う認知症地域支援推進員の配置も必要です。 そこで、大阪府においても、庁内関係部局の連携強化など、積極的な取り組みが必要と考えますが、これまで大阪府はどのような取り組みをしてきたのでしょうか。そして、今後どのような取り組みを進めていくおつもりなのか、伺います。 ◎介護支援課長(植木堅二君) 大阪府における若年性認知症に対するこれまでの取り組みでございますが、若年性認知症の方に対する適切な支援が行えるよう、市町村職員や地域包括支援センター職員などの相談担当者向けの若年性認知症支援ハンドブックを、また本人や家族が若年性認知症を正しく理解するための本人、家族のためのハンドブックを作成し、それぞれ関係機関に配布をいたしました。また、若年性認知症に対する周囲の理解が促進されますよう、サポーター養成講座においてもその講座内容に含めているところでございます。 加えて、委員お示しのように、若年性認知症の方の個々の実情に応じた支援を行うことが重要ですので、市町村や地域包括支援センター職員などの相談担当者を対象とした若年性認知症研修を毎年度開催しております。さらに、認知症に対する相談窓口として府が設置しております大阪府認知症コールセンターでは、若年性認知症の本人や家族からの相談はもとより、市町村や地域包括支援センターからの高度な専門相談にも対応してございます。また、本年度におきましては、本人や家族と行政との意見交換会を開催し、当事者のニーズを直接ヒアリングするなど、市町村等の担当者の理解を深めたところでございます。 今後は、委員お示しの認知症施策の中心的役割を担う認知症地域支援推進員について、現在は十七市町に設置してございますが、これの全市町村配置を目指してまいります。 さらに、本人や家族の経済的基盤を支えるために、府庁内に設置したワーキングを活用し、年金、障がい者手帳や一般就労、福祉的就労などの雇用・障がい者施策との連携強化を図るとともに、企業や団体の雇用主向けのパンフレットを作成するなど、若年性認知症の方のニーズに合った施策の推進に努めてまいります。 ◆(三浦寿子君) 今、御答弁にありました、ぜひ、地域のこういったコーディネーター役となる認知症地域支援推進員、この全市町への配置は大変重要と思いますので、早急な配置をお願いしたいと思います。 若年性認知症は特に若い世代に発症することから、認知症高齢者と違った課題がたくさんあります。とりわけ、経済的な生活基盤を支えるためには、若年性認知症に対する企業側の理解の促進は大変重要であると考えます。また、企業をやめてしまわれて、福祉的就労につかれる方も大変多く、そういった中で生きがいを感じていらっしゃる方も多いと聞きます。そういう意味では、こういった福祉的就労に関して、今後は、福祉団体の御理解、また受け入れ体制、こういった整備も必要となっていくのではないかと考えます。 今般策定された認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランにおいても、若年性認知症施策の強化が位置づけされているところであります。若年性認知症の方の意思が尊重され、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指し、市町村への支援を深め、さらなる施策の充実に期待しますので、よろしくお願い申し上げます。 以上で質問を終わります。 ○委員長(内海久子君) 三浦委員に確認いたします。知事質問の通告はございませんでしたが、よろしいでしょうか。 ◆(三浦寿子君) はい。 ○委員長(内海久子君) それでは、知事質問の通告はなしということにさせていただきます。 |