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三浦とし子議会報告
平成22年10月15日 環境農林水道常任委員会
大阪府議会議事録より転載
◆(三浦寿子君) こんにちは。公明党大阪府会議員団の三浦寿子でございます。  私からは、三点にわたり質問をさせていただきます。一番目が、不用品回収業者への取り組み、そして二つ目が、新たな環境総合計画の視点と生物多様性について、そして三つ目が、環境農林水産研究所の独立行政法人化、この三つについて質問させていただきます。
 まず初めに、不用品回収業者への取り組みについてお伺いします。
 昨今、使用済みのエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電四品目については、家電リサイクル法によりリサイクルが義務づけられております。しかしながら、家庭や事業所から使用済み家電を含めた不用品を軽トラック等で個別回収したり、また空き地を借りて、府民が持ち込んだ不用品を回収したりする業者が多く見られています。  これらの不用品回収業者の中には、収集した使用済み家電をきちんとリサイクルしていない業者があるということも想定されるわけですが、他府県でも、不法投棄等の不適正な処理で事件化されている悪質な業者の報道もされております。また、業者によっては、無料で回収すると言いながら、実際は高額な料金を要求することがあり、そのため消費者とトラブルになるケースも多くあると伺いますが、このような不用品回収業者の実態というのはどうでしょうか、まずお伺いします。
◎資源循環課長(山田桂三君) 委員お示しのように、使用済み家電を含みます不用品を回収する業者が、チラシを配布したり、不用品を府民から受け取る回収場所を設けて営業している事例がございます。
 これまで府は、地元市町村と連携し、業者の営業内容を確認するため、不用品回収業者数社に対しまして立入調査等を実施し、実態の把握に努めてきたところでございます。
 立入調査等を実施したところ、リユースと称しまして回収したものが、不透明な処理が行われている事例も見られました。このことから、適正にリユース、リサイクルを実施するよう指導いたしました。
 ただ、一方で、古物商の許可を持ってリユースを行っている適正な業者がいるのも実態でございます。
 国におきましても、高額な料金を要求したり、不法投棄等の不適正処理が全国的にもあることから、不用品回収業者に関する営業実態について調査を実施しているところであり、報告書を取りまとめた上で、自治体へ情報提供されることとなっております。
◆(三浦寿子君) 府としても立入調査等により実態を掌握しているということですが、まだまだ不十分ではないかと思いますし、また今回、国においても実態調査が実施されようとしておりますが、府としては、府民を守る立場から、また適正にリサイクルをしていかなければならないという事柄の重要性等から、みずから立入調査を行うなど、しっかりした対応をしていく必要があると思うのですが、その点もお伺いしたいと思います。
 先ほどの答弁にもあったように、適正にリユースしている業者もあるようですが、不適正な処理をしている不用品回収業者等について、今後、府民がトラブルに巻き込まれないように、またリサイクルが義務づけられているものがきちんとリサイクルされるよう、これらの不用品回収業者等へ指導を徹底して行っていく必要があるのではないかと思うんですが、その点についてはどうでしょうか。

◎資源循環課長(山田桂三君) 府民がトラブルに巻き込まれないこと、リサイクルが義務づけられているものがきちんとリサイクルされること、これは大変重要なことであります。
 そのため、巡回している業者の実態把握はなかなか難しいところでございますが、今後、府民の皆様方や市町村からの情報の入手に努めまして、一般廃棄物の指導権限を有する市町村と十分な連携のもとに、使用済み家電を含む不用品の回収業者への立入調査等を強化し、実態把握に一層努めるとともに、リサイクルされるべきものが適正にリサイクルされるよう、指導を行ってまいります。
 さらに、市町村と連携し、府民に対して高額の料金を要求するような悪質な業者に対する注意喚起や、適正な家電リサイクルの周知にも取り組んでまいります。
◆(三浦寿子君) しっかり取り組んでもらいたいと思うんですが、大阪府は、一般廃棄物とかリサイクル率が悪いということでお伺いしてます。地道ではありますが、家電リサイクル大阪方式などの導入によって、大阪府はこういう取り組みも積極的にやられているということから、わずかでもそのリサイクル率というのは上がっていると思います。地道な取り組みが功をなしていくと思いますので、今後とも対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、新たな環境総合計画の視点と生物多様性についてお伺いいたします。
 ことしは生物多様性年ということで、今、名古屋のほうで会議がされております。その生物多様性に入る前に、まず大阪21世紀の環境総合計画というのは、今年度が計画最終年度となっておりますが、計画期間中の取り組み成果はどうであったか、教えてください。
◎環境農林水産総務課長(河田教雄君) 現在の環境総合計画は、平成十四年の三月に策定をいたしました。その中身は、あらゆる主体の参加を基本に、環境、健康、共生・魅力を施策の柱として、大阪の特性に応じた創意工夫を行いながら、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 また、その主な成果といたしましては、温室効果ガスでは、二〇一〇年に一九九〇年と比較をし排出量を九%削減することや、廃棄物では、最終処分量を二〇一〇年までに二〇〇三年からおおむね半減させるなどの目標を達成できる見通しとなっています。
 また、大気環境では、二酸化窒素、浮遊粒子状物質等の環境保全目標や、河川や海域などの公共用水域の水質では、鉛やカドミウムなどの人の健康に影響のある物質の環境保全目標が達成される見込みとなっております。
 一方で、河川や海域の水質など、一部で目標の達成が困難なものもあり、今後も継続して取り組むべき課題であると考えております。
◆(三浦寿子君) 計画最終年を迎えた現環境総合計画の改定に向けて、本年五月に大阪府環境審議会から答申が出されておりまして、施策展開の基本方向として、あらゆる主体の参加・行動のもと、低炭素、循環、生物多様性、健康・魅力の四つのキーワードが挙げられております。現在検討中の新環境総合計画でも、この四つを施策の柱にしていく方針と聞いておりますが、その考え方についてお伺いします。
◎環境農林水産総務課長(河田教雄君) 新環境総合計画の考え方につきましては、これまでの取り組みにより、大阪の環境は着実に改善しておりますが、循環の分野につきましては、現計画の目標は達成される見込みであるものの、一般廃棄物の一人一日当たりの排出量がいまだ全国ワーストワンである現状を踏まえ、さらなる取り組みが必要な状況となっております。
 また、健康の分野については、大気環境では、環境保全目標の確実な達成や、平成二十一年に新たに国により環境基準が設定された微小粒子状物質への対応、河川、海域での水質改善などでさらなる取り組みが必要な現状です。
 そのため、循環や健康については、今後も継続してその柱として取り組むべきものと考えております。
 また、現計画では、循環に含まれておりました低炭素や、共生・魅力に含まれていた生物多様性については、地球規模での環境問題として国際的にも大きな課題となっており、施策展開を検討するに当たり、新たに柱に加えるべきものと考えております。
◆(三浦寿子君) 低炭素と生物多様性を新たな柱に加える方針とのことですが、とりわけ生物多様性は、人間のみならず、すべての命が存在するために大変必要な基盤である大気や水を生み出し維持するなど、生き物の命と暮らしを支える大切なものであり、国際的にも大きく取り上げられている重要な課題であると思います。
 大阪府においても生物多様性の取り組みを広げていくためには、まずは生物多様性の認知度を高め、社会に浸透させていくことが大切と考えます。平成二十年の府民アンケートでは、生物多様性という言葉すら聞いたことがないと答えた人が約六割と、生物多様性は府民にはなじみが薄いですが、これまで生物多様性の普及に対してどのような取り組みをされてきたのでしょうか。
◎環境農林水産総務課長(河田教雄君) 生物多様性の普及につきましては、本年三月に環境省主催で開催された生物多様性エキスポ二〇一〇への出展や、八月に環境農林水産総合研究所と大阪府立大学が連携して大阪の自然・文化と生物多様性に関するセミナーを開催するなど、府民への啓発に取り組んでおります。
 また、身近な生き物を通して生物多様性を考え、府域の自然の状況を知る取り組みといたしまして、府は、「生きもの調査隊!二〇一〇」を実施するとともに、生物多様性に関するホームページを九月末に新たに設け、情報発信に努めているところでございます。
◆(三浦寿子君) この生物多様性に関する取り組みとしては、例えば野生生物の保護では、幾つかの県で、絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例の策定など、工夫を凝らした取り組みがされているところです。
 大阪でも、保全すべき種についてレッドデータブックというものが作成されていると伺いますが、府における保全すべき野生生物の実情とその保全にどのように取り組まれてきたのか、お伺いいたします。
◎環境農林水産総務課長(河田教雄君) 保全すべき野生生物の実情といたしまして、二〇〇〇年に取りまとめられた大阪府レッドデータブックでは、府内に生息する野生生物約八千七百種のうち、六百十五種の動植物が絶滅のおそれがあるとして取り上げられております。  これまでの保全に向けた取り組みとしては、鳥獣保護区の設定や、大阪府自然環境保全条例に基づく自然環境保全地域の指定による保護や、天然記念物であるイタセンパラの保護、増殖、ミドリシジミ類のチョウの生息環境保全などにも取り組んでおります。
◆(三浦寿子君) 私も先日、我が会派の林委員と岩下委員と三人で水生生物センターに伺わせてもらいました。二回目だったんですが、初め行ったときはさほど興味はなかったんですけれども、二回目行ったときに、またちょっと展示模様も変えられておりまして、大変興味深く見させていただきました。研究員の方が広報活動でいろんなテレビに出演されたり、また雑誌に取り上げられたり、イタセンパラの保護、そしてまた環境整備、イタセンパラが生息するために淀川のワンド等の環境整備に努められている姿とか、市民を巻き込んでの取り組みというものに改めて感動した次第で、この生物多様性というものの重要性を、ここに来て初めて知った次第でございます。
 こういった取り組みがしっかりされていることは本当にありがたいと思いますし、またミドリシジミ類のチョウですね、これも私も能勢のほうに以前、一年生のときに行かしていただいて、民間の方が本当に一生懸命植樹とかされて守っていらっしゃるという様子をお伺いしまして、大阪にはまだまだこういった希少な生物がいるということを改めて知った次第です。
 最後でございますが、生物多様性の普及や野生生物の保護にこれまでも取り組んでこられたということですが、折しも、先ほど言いましたように、今月十八日からは、名古屋市で生物多様性条約第十回締結国会議、いわゆるCOP10が開催されておりまして、数多くの生物種が絶滅の危機に直面している現状を確認しつつ、国際的な改善への方途を話し合う場となると聞いております。
 ある記事では、地球上には既に掌握できているだけで約百七十五万種、まだ発見されていない種も含めると推定で三千万種もの生き物が生息していると言われております。さまざまな種の個性に満ちた生き物が織りなしている森林や河川などの生態系が、酸素や水、食料の供給源となり、自然災害や二酸化炭素増大などの環境変化を緩和、軽減してくれていると書いてありまして、さらにまた、工業原料や、柳の樹脂の成分を鎮静剤に応用するなど医薬品の開発など、生物多様性ははかり知れない恩恵をもたらしてくれているということです。
 ところが、ある科学者は、種全体の〇・一%が毎年絶滅していると警告しており、一年間で約三万種が地球上から姿を消している計算になるということです。日本でも、トキが野生絶滅を迎え、アホウドリやメダカなど、かつてなじみが深かった多くの生物の絶滅危機、こういった生物が絶滅危惧種とされていると書いてありました。
 こうした状況から、一九九二年、国連環境開発会議で生物多様性条約が採択され、日本を含む百九十三の国と地域が締結されました。この条約の目的は、一つ目が、生物多様性を保全し、また二つ目が、生物資源を持続可能な方法で利用し、三つ目が、遺伝資源から得られる利益を公平かつ衡平に配分することとなっております。
 国においては、平成二十二年三月に、生物多様性の保全と持続可能な利用を進めるための基本的な計画である生物多様性国家戦略二〇一〇を、生物多様性基本法の規定に基づき策定しました。この中では、地方公共団体においては、国家戦略の全国的な視点に立った取り組みだけではなくて、地域レベルの取り組みが期待されておりまして、生物多様性地域戦略の策定が努力義務とされております。
 また、この生物多様性条約第十回締結国会議ですが、これは二年ごとに行われているそうで、前回、ドイツで行われたそうなんですが、そのときでも、都市とか地方、政府の参加促進決議というものが採択されたところでございまして、地方の生物多様性戦略と行動計画の策定を国が支援することとされるなど、国際的にも地域レベルでの生物多様性に関する積極的な取り組みというのが求められているところでございます。
 既に日本の中でも、兵庫県なんかは、この戦略会議で、コウノトリの野生復帰への取り組みをきっかけとする生物多様性保全の取り組みというのが挙げられていまして、コウノトリの野生復帰のため、いわゆる水質の保全や、また畑の農薬への制限などいろんな取り組みをして、そういう生物多様性の重要性に取り組んでいくというふうになっております。
 こういう地域それぞれの特色はあるんですけれども、大阪府域においても、周辺山系や自然海浜などの貴重な自然が残されております。これらの保全や、府民、企業、NPOと連携した活動、また人材の育成など、まさに地域レベルのきめ細やかな生物多様性の取り組みが必要であると私も考えるところでございます。
 そこで、環境総合計画の新たな柱として生物多様性に取り組んでいくということでございますが、府域の自然条件や社会条件に応じたきめ細やかな地域レベルでの戦略が必要であると考えますが、その点はどうでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(荒木真一君) 生物多様性は、人間を含めすべての生物の生存基盤にかかわる大変重要なものと考えています。
 生物多様性国家戦略二〇一〇では、二〇五〇年の中長期目標として、生物多様性の状態を現状以上に豊かなものとすることとし、二〇二〇年の短期目標として、生物多様性の損失をとめるために、生物多様性の状況の分析、把握と、保全活動の拡大、持続可能な利用、社会への浸透と、新たな活動の実践を掲げております。この目標を達成していくためにも、大阪府として地域レベルでの取り組みを進めていくことが重要です。
 大阪は、都市化の進んだ地域ではありますが、人と自然の密接なかかわりの中で、周辺山系や、里地、里山、農空間、自然海浜などの貴重な自然環境が残されており、大阪の地形的特性や地域の実情に応じ、きめ細やかな生物多様性の保全の取り組みが必要であると考えています。
 このため、府民、NPO、企業等との協力関係をさらに強化をし、生物多様性の重要性の理解促進を図りながら、府民や事業者による日常生活や活動において生物多様性の保全に配慮する仕組みづくりや、生物多様性の保全に向けた活動の拡大、鳥獣保護区や保安林などの生物多様性の保全に資する地域指定の拡大などを検討しており、これらの目標や取り組みを地域レベルでの戦略として新たな環境総合計画に盛り込んでまいりたいと思います。
◆(三浦寿子君) この国家戦略の策定に際して、地方での取り組みというのは、環境省からまたその取り組みの手引みたいなものが出てるというふうに伺います。そういった中では、多様な主体として、いろんな団体とか市民とか、そういった参画とまた連携の中で取り組みがされていくことが大事ではないかというふうに思っております。
 私の地元は吹田なんですが、吹田もかなり都市化されているんですが、まだまだその中では開発がされなかってそのまま雑木林が残っていたり、またニュータウンの奥のほうの箕面の境のところではちょっと小高い丘が残っていたりして、わずかなところを里山保全ということでグループで取り組んでおられる方や、またその雑木林のところには、そのまま原風景を残した沼地とかあって、そこにヒメボタルがいてるんです。横は道路なんですけれど、ヒメボタルが生息してるということで、住民の皆様がその環境を整備したり、また水の清掃、例えばちゃんと道もきれいに舗装したり、その環境整備に努力されている、そういう取り組みをされている方が大変いらっしゃると思いますので、そういう市民を巻き込んだすばらしい戦略をぜひ大阪でも積極的につくっていただいて、取り組んでいただくよう期待しておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、最後に、環境農林水産研究所の独立法人化についてお伺いいたします。
 この質問に関しましては、先ほど中村委員からもありましたし、我が党の代表質問でも清水議員が行わせていただきました。私も、ちょっと細かい点も含めまして、独立法人化に向けて疑問の点を幾つか挙げさせていただきましたので、お伺いしたいと思います。
 まず初めに、先ほど中村委員のほうへ、なぜ今の時点で独立行政法人化するのかというようなお答えもされておりました。そういった中で、今以上の府民サービスが提供できるということで、今以上の府民サービスというのが、迅速かつきめ細やかな対応ができるということをおっしゃっておりました。私は、果たしてこの迅速かつきめ細やかな対応ができるのかなという点も疑問でありますので、こういった点も含めまして質問させていただきたいと思います。
 先ほどもありましたように、昨年度には、外部委員から成るマネジメント会議におかれまして大変高い評価を受けられたということです。この高い評価を受ける内容については、まず各担当者間の連携、また大阪府の担当部の所属機関との連携もその効をなしているのではないかと、そういうふうにも考えておりますが、農と緑の総合事務所、また病害虫防除所、栽培漁業センター、こういったところや、特許センターなど、これまで直営でスムーズに事業が遂行されてきました。これが独法になるとどうなるのかなという点もありますが、その点についてはどうでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 現在、環境農林水産総合研究所と他の行政機関が連携して対応してきております業務につきましては、引き続き独立行政法人が各機関と連携して取り組み、これまでの研究所の役割を果たしていく必要がございます。
 しかし、独立行政法人になりますと、法人が府とは別の主体として業務を行うことになりますため、現在、具体の業務実施上の課題やその対応案、そして府と法人との連携方策などについて検討しているところでございまして、法人が大阪府とは別の機関になるということから来る制約を除き、法人の業務の中心となります試験研究やその成果の活用などができる限り現状と異ならない形となるよう、業務の実態を踏まえた制度設計をしていきたいというふうに考えております。
◆(三浦寿子君) 独立行政法人化により人事を弾力的に運用できることから、企業や大学との人的交流がやりやすくなると言っておられますが、実は現在においても、受託研究の契約をすると、外部研究員が研究所に来て事業を実施されているというふうに聞いてますし、また国の受託事業などは、他府県とか大学、また企業とのチームでの事業実施が多くなって、そうなると各関係機関を行ったり来たりしていると聞いております。
 また、企業の方がこの研究所に来られたら、自由に利用できる施設というのもあるというふうに聞いておりますので、これまでもこういう大学との連携などを行ってこられたわけですから、独法化しなくても、直営でも可能ではないのでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 独立行政法人化いたしますことで、法人自身の裁量や判断でより迅速に人事を決定することができるようになるというふうに考えております。
 現状におきましても、研究所は、大阪府立大学と包括連携協定を結ぶなど、大学や企業との連携は一定進めておりますが、独立行政法人では、人事の運用面などで制限や制約が緩和されることにより、例えば大学や企業との間で職員を一時的に大学の客員教員として派遣したり、また企業の研究員を招聘するなど、単なる共同研究以上に人材の交流が可能となり、連携の幅が広がるものと考えております。
◆(三浦寿子君) 今現在はいろんな形で共同でやられているということなんですが、この今の状況の中で、これ以上のものという、大学や企業からそういったニーズというのはあるんでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) これまでも大学から、職員を非常勤講師や客員研究員などに招きたいとの要請や、受託研究を受けた企業から、研究所のフィールドを使った実地研究のための技術研究生受け入れの要請などがございました。独立行政法人となることによりまして、さらに多様な要請にこたえていきたいと考えております。
◆(三浦寿子君) いろいろ聞いていきたいと思いますが、研究費については、現在でも研究費に占める府費の割合は一〇%を切っており、あとはすべて外部からの研究資金であると聞いております。その外部からの研究資金はどうなっているのかということと、マネジメント会議というのがありましたが、その中でもある委員の方が、大学の場合は授業料というのが毎年必ず入ってくる、これは大きな固定収入であるが、こちらの研究所の予算計画とかを見ていると、独立の運営体制をとるにはよほどの外部資金を獲得していかないとかなり大変だなと感じるとあるように、運営交付金以外にどのようにして研究資金を獲得していかれるのでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 研究所の研究費につきましては、二十二年度当初予算で、一般財源以外の外部からの研究資金が、国等の公的機関からの受託で約二億六千万円、受託研究や依頼試験など民間からの受託が約八百万円となっております。
 独立行政法人化後も、外部からの研究資金を獲得いたしますために、競争的資金による研究の公募に積極的に応募したり、民間ニーズに的確にこたえられますよう、企業との連携を含め、民間からの受託研究を活用するなど、外部資金を獲得するよう努めてまいります。
◆(三浦寿子君) これは答えは求めないんですけど、国とか公的機関の受託というのは今二億六千万とおっしゃっておりますが、これは受けた分すべて執行されるということで、いわゆる研究所の新たな運営金にはならないと思います。よほど外部からの、民間からの委託、これを獲得しなければ、今八百万とおっしゃっていますが、これ経過を見てても八百万まで至ってるのも少ないかなという気がしますので、ここら辺はかなりの努力が要るのではないかと思っております。
 次にいきます。
 独立行政法人化により、研究費は外から稼ぐということが重視され、いわゆる府からの交付金が抑えられるようになると、研究にとって基礎体力とも言うべき基礎研究が軽視され、研究所の研究力というものが低下するのではないかとも私は懸念しております。このような資金を稼ぎにくい基礎的な研究や地域の実情に応じたきめ細やかな研究について、独立行政法人ではどのように位置づけ、評価されようとしているのでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 府域の特性に応じました調査研究や技術開発を行いますことは、研究所の重要な使命でございまして、引き続き法人においても果たしていく必要がございます。
 現在も、研究所におきまして、府政ニーズの優先性や競争的資金の獲得可能性の高い重点研究分野と、地方公設試験研究機関として確実に実施し地域の課題に対応していく基盤研究分野にそれぞれ研究課題を位置づけまして、環境農林水産分野のニーズに応じた研究を行っているところでございます。  独立行政法人化後も引き続きこのような体系を維持しまして、将来のニーズにこたえるための新規技術の育成や開発に取り組み、基礎的な研究や地域の実情に応じた研究も適切に評価される体制を整備していきたいと考えております。
 また、例えば効率化によって剰余金が生まれました場合などには、それを研修や次の技術開発に使えるようにするなど、研究力の向上につながるような仕組みも構築していきたいというふうに考えております。
◆(三浦寿子君) 今答えていただいたんですけれども、今現在も重点研究分野、そして基礎研究分野、それぞれ研究課題を位置づけ、この三つが一緒になったときも、実施している研究や事業の必要性の精査を常に行いながら、こういう重点的研究分野、基盤研究分野、そして研究課題評価システムというものをつくられて、めり張りある研究費の配分をして、いわゆる研究費の充実というのを図ってこられているようでございます。それがさらにということではあると思うんですが、ここら辺の点もどれだけ伸びるのかなという疑問もあるところでございます。
 そしてまた、続けていきます。
 次に、農業や漁業の振興、また大阪港の漁業資源の課題について、農業者、漁業者のニーズにどうこたえていくか、また地域解決課題に向けて開発した技術がきちんと役立っているのか、それを考えるのが地方公設試験研究機関の役割ではないかと思います。そういった事業者への成果の還元についても、独立行政法人化すると、努力して稼ぐことを求められて、本来試験研究機関が担っているところの行政課題に的確に対応する役割が軽視される可能性や、また資金を稼がなあかんということで、いわゆる府民への受益者負担ということも起こり得る可能性があり、府民サービスに支障を来すのではないかということも懸念しております。
 その結果、緊急時の対応など重要な使命が果たせなくなったり、また資金面でも、今であれば、例えば天災とか風災などいろんな事象が起こったときに、その緊急の対応予算というのは、環境農林水産部の中で予算を編み変えることはできるけれど、本当に限られた運営費の中で、その資金というのが調達できるのだろうかと思うことと、そして先ほどの生物多様性保全、こういった成果を定量的に評価することは難しいけれども行政としても重要な事業、こういったものが切り離され、研究所の基本的な使命である行政課題への対応ができなくなるのではないかと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 独立行政法人は、府の施策を府にかわって実施する公的機関でありますことから、行政課題への対応につきましても、引き続き法人において果たしていく必要があるというふうに考えております。
 特に緊急時への対応は時間的猶予がなく、対応を誤ると大変な事態になる、その意味でも非常に重要でございます。そのため、法人の定款の中に、緊急時において府からの要請に基づいて必要な支援を行うことというのを法人の業務として明確に位置づけたところでございます。  現在、府と法人との連携方策などについて検討を進めているところでございますので、実態を踏まえた具体的な対応をとるとともに、行政として実施すべき業務につきましては、法人の中期計画にそれらを織り込むなど、業務が継続的かつ安定的に行われますよう、資金面も含めまして適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、独立行政法人の使用料や手数料につきましては、料金の上限を定めて議会の承認を得ることと法で定められておりまして、府民サービスが低下しないよう対応してまいります。
◆(三浦寿子君) 次に、法人の業務に必要な財源は措置するということでありましたけれども、これは代表質問でも確認しましたが、これは本当に大丈夫なのか、心配するところです。
 先日、これも研究所の施設を見せてもらったんですが、昭和三十年代ごろに建設された施設が多くて、かなり老朽化しておりました。耐震工事が必要な施設もあります。このマネジメント会議でも、この研究所の機械設備や電気設備などかなり老朽化している点があるというふうに指摘されてましたが、こういった大規模な改修等が必要になった場合の維持管理の経費についてはどのように確保されようとしているのか。
 それとともに、先ほど言いました外部資金でしっかり余剰金というのをつくっていかれると思うんですけれども、これもしっかり担保していただいて、法人化後も全国に発信され、ステータスを高めるためにも、この余剰金というのは必要な財源になると思うんですが、こういった財源の確保というか、この担保、これはどのように示されようとしているのか、教えてください。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 法人の運営に必要な財源につきましては、設立団体である府としてその確保に努めていくことは当然であるというふうに考えております。
 建物や設備の改修につきまして、日常の維持管理に要する経費につきましては、運営交付金で対応することを考えておりますが、大規模な改修などにつきましては、その都度必要な財源の確保に努めまして、法人の運営に支障がないよう適切に対応してまいります。
 また、みずから法人が効率化を図りますなど経営努力により剰余金が生じた場合などにつきましては、法人が努力した結果が報われるような仕組みを構築することは必要であると考えておりまして、検討してまいります。
◆(三浦寿子君) 次に、現在の研究所の研究員の年齢構成を教えていただいたんですが、四十代、五十代が大半になっておりますし、また嘱託職員による対応を行っているという状況にもなっており、これらのことを考えると、将来的な人材の確保というのが大変不安であります。職員の育成や新規の研究者の採用等について、独立行政法人では具体的にどのような対応を行っていくのでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 独立行政法人は、法人自身が人事を自主的に運用できますことから、法人化後の人材の確保、採用、育成は法人が独自に行うこととなります。
 しかし、研究活動は継続的、長期的に行われるものでありますことから、人材の採用や育成を計画的に行いますとともに、例えば研究プロジェクト等の時期に応じた研究員の採用や適所への人材配置、大学や企業との人材交流、さらには計画的な研修制度、こういったものを導入いたしまして、これらの機会を通じて研究員のスキルアップを進めてまいります。
◆(三浦寿子君) 次に、研究所の技術開発について、環境農林水産総合研究所においても特許の出願件数が三十件あると聞いております。研究所においては知的財産の活用は重要であり、現在も中期計画に目標を掲げて進めていると聞いております。
 現在、研究所では、特許の出願等に当たっては特許情報センターの支援を受けているところであるということを聞いておりますが、独立行政法人となった場合は、府の機関としての支援が受けられなくなり、新たな事務や費用が発生するのではないでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 研究所が独立行政法人となりました場合、現在、特許情報センターで管理しております研究所関連の特許等は法人に帰属することになりますことから、新規の出願や研究所に移管された知的財産の管理にかかる事務や費用につきましては、新たに負担が発生することになります。
 知的財産の出願、管理につきましては、法人独自の判断で行うことになりますが、これまでよりも独自に迅速に判断できることについてはメリットになるのではないかと考えております。
◆(三浦寿子君) この特許を取るにも百万単位とかのお金が要るというふうに聞いてますし、このマネジメント会議でも、特許申請は年間十五件を目標という形で掲げられているということで、外部との協力であれば、申請額も少なくなったり外部の予算でいける場合もあると思うんですけれども、府単独の場合は、やはり高額なお金が要るのではないかというふうに思っております。
 こういう新たな負担が発生することになって、いわゆる事務的なこと、先ほどは、法人独自の判断で知財の出願、管理することになるということでお答えがあったんですが、この今の人員体制というのがいけるのかどうか。
 また、法人化により新たなランニングコスト三千万円が発生するとしていますけれども、これまで歳入の決算というのを見さしてもらうと、平成十九年度から二十一年度の間、収益となる財産売り払い収入、使用料、民間受託研究などの歳入が三千万円前後で、稼いだ分、ランニングコストに消えることになり、運営が厳しくなり、そういった点から、新たな特許申請というのは厳しくなるのではないでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 知的財産の出願、管理につきましては、法人独自の判断で行うことになりますため、特許等の申請の適否や知的財産の保護、管理の方法などにつきまして、専門的なアドバイスを受ける体制など、法人が判断していくための体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
 特許出願等の費用につきましては、その特許取得の費用対効果も見きわめながら、法人における特許取得方針を検討した上で、必要な経費の確保に努めるなどの対応を行っていきたいというふうに考えております。
◆(三浦寿子君) 最後ですが、議案として提出されている研究所の定款では、いわゆる非公務員型の独立行政法人とすることとされております。研究所の職員、特に研究職の人たちは、これまでの大阪府立という中でステータスを持って頑張ってこられた。また、この非公務員になることで、さらに今後の処遇等について大変不安を感じているとも聞いております。
 職員の身分、そして特に研究職の人たちの給与や退職金などはどうなるのでしょうか。
◎環境農林水産部副理事(西谷一彦君) 職員の身分でございます。職員の身分につきまして、研究職につきましては、承継が基本と考えております。また、研究職以外の職種につきましては、効率的かつ効果的な運営に資するという観点から、弾力的な人員配置が可能となりますよう、当面の間、派遣と考えております。
 法人への承継職員の給与につきましては、府に準ずる形で法人が給与規程を定め、退職手当は、法人の退職手当規程によることになりますが、府の支給基準に準じて支給いたしますとともに、在職期間につきましては、府及び他の公共団体などでの在職期間を相互に通算することといたしております。
◆(三浦寿子君) いろいろ伺ってきたんですけれども、先ほどの中村委員と同様にして、今、大阪府の財政が大変厳しい状況にある中で、今まで三つのそれぞれの機関が十九年度に一緒になって、いろんな評価も受けながら、コスト削減や新たな事業の展開をされてきたわけでございます。その評価も大変高いというのにもかかわらず、新たに五千二百万というお金を積んで、先ほどもおっしゃってましたように、新たな事業経費がそれ以上にふえるかといったら、なかなか難しい状況もある中で、独立行政法人になるというのはかなり課題が多いかなと思っている次第です。
 また、病院など独立行政法人になりましたが、あそこは大きな大きな体制で、運営費とかも大きいわけです。しかし、今回の研究所は大変小さな単位で、この運営費予算というのが唯一の頼み綱になった場合、大阪府が効率化ということでシーリングとかかけてきた場合、この運営費、小さな枠の中での運営費が、シーリングをかけられたら、ほんまににっちもさっちもいかへんような、そういう状態になるのではないかなと、また融通もきかないのではないかと大変危惧しているところでございます。
 こういった点も踏まえて、まだまだ議論しなければいけないと思っておりますので、これに関しては知事に質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(青野剛暁君) 知事質問について三浦委員に、確認いたします。
 環境農林水産総合研究所の独立行政法人化についての一項目よろしいですか。
◆(三浦寿子君) はい。
○委員長(青野剛暁君) それでは、ただいまの質問項目については、委員長預かりとさせていただきます。