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三浦とし子議会報告
平成21年3月24日 定例本会議
大阪府議会議事録より転載
◆(三浦寿子君) 公明党の三浦寿子でございます。
 公明党府議会議員団を代表して、今次定例会に上程されております諸議案の採決に当たり、我が党の見解を申し述べます。
 まず、福祉医療費助成事業についてでありますが、これまで我が党は、府の代表的な命のセーフティーネットであり、現行制度を維持し、対象者本人への一割負担は断じて行うべきではないと主張してまいりました。
 知事は、一割負担の導入こそ断念されたものの、これにかわる見直し策として、一律五百円から八百円へと自己負担金額の増額等を求める内容で、二十一年度当初予算案に提案されました。その後、知事は、我々の主張を受け入れ、自己負担金額の増額を見送ることを表明されました。知事のこの決断に対して、大いに評価するものであります。
 次に、小規模事業経営支援事業についてであります。
 昨年六月に公表された財政再建プログラム案において、補助制度の見直しについて、当初の予算案で二十一年度は二〇%もの削減案を示されました。我が党は、商工会議所、商工会が行ってきた小規模事業経営支援事業費補助金は、大阪経済の振興のため不可決であり、継続すべきであるとして、この間、代表質問や一般質問等においてその必要性を訴えてまいりました。今回知事が示された削減率の緩和措置については、我が党の指摘を考慮されたものとして評価するものであります。
 次に、センチュリー交響楽団に対する補助金についてでありますが、平成二十一年度における補助金額が二十年度の約四分の一、一億一千万円になっています。この額で楽団が本当に維持できるのか、危惧するところであります。府営楽団から脱却し、自立をということですが、センチュリー交響楽団については、今後大阪の顔、府民の顔になってこそ、自立が見出せるものであります。それまでどう育てていくのか、ビジョンを再構築した上で、今後の補助金のあり方については検討すべきことを申し添えます。
 国際児童文学館については、教育文化常任委員会での附帯決議を重く受けとめ、中央図書館に移転しても、その設立時の趣旨にのっとり、引き続き資料収集や保存活用を行うとともに、これまで果たしてきた児童文学の総合資料センター、読書活動支援センターとしての機能を維持できるよう整備していただきたい。そして、例えば中央図書館内に看板を掲げるなど、府民の目から見て、その役割がしっかりと引き継がれたとわかるようにすべきであることを指摘しておきます。
 府立大学の入学検定料については、昨年九月定例会におけます獣医学科の新たな負担金の徴収に続いて、今回また値上げが提案されています。授業料以外は運営費交付金を主体に運営される公立大学としては、入学検定料の改定にも合理的な理由が必要であり、本来施設整備は、設立団体である大阪府の責任であるのにもかかわらず、その財源を受験生に求めることには疑問を禁じ得ません。
 次に、府庁舎の移転問題についてであります。
 今議会において最大の焦点かのように言われ、話題性も十分ありましたが、今までの議論の過程を振り返る限り、本来は府市連携での都市構想推進を契機とする政策課題が、単なる不動産取引であり、大阪市の破綻処理の一方策のようにさえ思われる議論に終始したことは、まことに残念でなりません。
 今回の都市構想案は、先日のテレビ報道でも明らかにされていたように、バブル期真っただ中の昭和六十三年、大阪市がつくったテクノポート大阪計画の焼き直しにしかすぎないのではないかと思われても仕方がない内容であります。また、この構想案が、本当に大阪府域全体にかかわる大阪、さらには関西の核となるまちづくりの構想であるならば、我々府議会議員の一人一人が、地元で府民に、この構想であなたの暮らしはこう変わりますよと説明できるものでなければなりません。しかし、一体どんな効果が大阪府全体に及んで、大阪が活性化し、大阪府民の生活が豊かになるというのか、結局一度たりとも納得できる説明を聞くことができませんでした。
 知事の言われる大阪の都市構想など大阪を活性化する施策の方向性、それ自体には賛同いたしますが、さらにこの庁舎移転問題のかぎを握るのは、何といっても大阪市の本気度であります。今議会の代表質問でも申し上げましたが、平松市長に府議会の全員協議会の場に赴いていただき、大阪市がこの大阪を変えるといった本気度を示していただけたならば、潮目は大きく変わったかもしれません。
 権限と財源を持つ大阪市が主導的な役割を果たしながら、府は連携し後押しをする、これができてこそ、知事がよく言われる、府市の歴史的かつてない新たな関係が生まれてくると思うのであります。
 既に議会において本館の耐震補強で議決している中で、それを変更しての府庁舎のWTCへの移転案は余りにも性急であり、代表質問や一般質問、常任委員会でも質問してまいりましたが、府市連携や都市構想についてもきちんと整理、議論ができていない中での府庁舎の移転は、改めて拙速と言わざるを得ず、原案には賛成しかねるものであります。
 以上、さまざまな点について申し上げましたが、今議会に上程されております諸議案については、議案第六十七号の公立大学法人大阪府立大学が徴収する料金の上限の変更について認可する件、議案第百三十五号の平成二十一年度大阪府一般会計補正予算の件及び議案百三十六号の大阪府庁の位置を定める条例制定の件については反対し、残余の議案については賛成であります。
 最後に、今定例会における知事発言について一言申し述べたいと思います。
 知事は、今回の府庁舎移転案に対し、府政のかじ取りでは賛成と反対で差をつける、また政治的配慮がなければ賛成も反対も一緒と、賛成した会派、議員と反対した会派、議員に政治的な差をつける意味の発言をされました。
 大阪府議会は、民主主義の原則にのっとり、知事と議会の二元代表が府民の意見の代弁者として議論し、意見を闘わせる場であります。その議論の根底は、府民のために何がよい結果につながるのかの真摯な議論なのであります。さらに、意見が通らないからといって、相対する意見を封殺したり、政治的に差をつけるなどというのは暴論であり、言論の自由を奪い、自由濶達に議論をする議会制民主主義を冒涜するものであります。
 今後、大阪府政が正常に運営され、知事と議会が、府民の代表者として何の束縛もなく大いに議論ができるよう、あえて橋下知事にはこのことを強く申し添えて討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)