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三浦とし子議会報告
平成20年11月18日 定例本会議
大阪府議会議事録より転載
◆(三浦寿子君) 公明党の三浦寿子でございます。あと二人となりまして、私は商工労働のほうで一問でございますので、よろしくお願いいたします。
 私のほうから、デザイン相談と指導事業についてお伺いしたいと思います。
 今、大変景気が厳しい中で、一般消費が低迷する中、従来の高機能や高品質、また低価格だけでは物が売れないという、そういう時代になっています。新たな価値軸としての感性に訴える商品開発に目を向けることが重要だと言われております。感性に訴える商品開発というのは、デザイン、いわゆるグラフィックとかプロダクト、サービス、まちづくり、こういったものも含まれますが、そういうものの積極的な活用であると言われております。
 経済産業省によると、これから二〇一〇年までを感性価値創造イヤー、ちょっとわかりにくいんですけれども、そういう感性価値創造イヤーと定めまして、日本の経済戦略としてデザイン政策に取り組まれているようでございます。
 私も、実は、大阪はものづくり技術はすぐれている、しかしながらまだまだデザイン力やマーケティング力が弱いということから、以前、商工労働の常任委員会においても、地元デザイナーの育成や、また大阪の中小企業の商品開発をデザイン面で支援していくことに対する府の取り組みについて伺ってまいりました。
 今回、決算委員会においてこのことについても伺いたいと思いまして、平成二十年度主要施策成果報告書、この三十ページによりますと、商工労働部で中小企業振興対策としてデザイン相談、指導や中小企業デザイン活用促進事業を実施されているということですが、具体的な取り組みについて、まずお伺いいたします。


◎ものづくり支援課長(山中政明君) デザイン相談及び指導事業についてでございますが、デザイン活用をすることによりまして、商品開発につきましては付加価値を引き上げていくということが言われておるわけでございますが、そういうことは十分わかっておるわけでございますけれども、これまでそういう経験がなかったり、自社でそういう人材を抱えておらないというような中小企業にとりましては、デザインをどのように活用していったらいいのか、そしてまたどのぐらいの費用がかかるのかというのがなかなか不安なものでございまして、そうした企業に対しまして、デザインの専門職員が大阪府にはおりまして、産業デザインセンターでございますけれども、ここの職員が相談を受けまして、デザインを活用する上での課題や問題点を整理いたしまして、具体的な活用の仕方を示しておるのが相談・指導事業でございます。
 もう一点、中小企業デザイン活用促進事業でございますが、平成十八年から二十年度の間で実施してまいりました。大阪府が外部のデザイナーを委嘱いたしまして、アドバイスをする会を開催いたします。そこに中小企業の方が参加をいただきまして、さらにデザイン活用を希望される場合におきまして、大阪府内のデザイン団体の協力を受けまして、三十万円という定額制で中小企業の方々が自社のデザインの開発に取り組んでいただけると、こういうサポートをしている事業でございます。
 これの具体的なデザイン開発の事例でございますけれども、例えば会社を創業するに当たりまして、外部のデザイナーのアドバイス会に参加をいただきました後でございますが、会社のロゴ、そしてまたユニフォームであるとか、このようなグラフィックデザインを開発したもので、その後、この会社におきましては、自社で製造されておりますところの、例えば産業機械を製造されておるわけでございますけども、そういう開発につきましても、デザインを活用していただいていると、このような事例がございます。


◆(三浦寿子君) 府内の中小企業のデザイン導入や活用を促して、商品の提案力の強化や魅力あるすぐれた商品の創出ということを実現してもらうことは、大変重要な取り組みではあると思います。
 中小企業デザイン活用促進事業というのは、平成二十年で終了したと聞きます。この成果を二十一年度以降どのようにつなげているのでしょうか。


◎ものづくり支援課長(山中政明君) 先ほど申し上げました事業は、昨年度で終了したものでございますが、二十一年度からは、これまで大阪府が謝金を負担しておりました外部デザイナーによるアドバイス会でございますが、これにつきましては中止をしたものでございますが、デザイン団体の協力によりまして、三十万円の定額制でデザイン開発をしていただけると、こういう開発を依頼できる仕組みは継続させております。
 したがいまして、専門職員の企業に直接出向いての相談でありますとか、あるいは相談内容を充実いたしまして、府内のデザイナーを企業につなげていくことで中小企業のデザイン活用を職員がみずからサポートしていくということにしております。


◆(三浦寿子君) 国の特定サービス産業実態調査によると、大阪のデザイン事務所数というのは、東京に次ぐ多さやと聞いておるんですけれども、実際には、この事務所数というのは、東京、大阪とか愛知なんかはどれぐらいあるんですかね。それとあと、専門学校とかいうのは、どれぐらい大阪にはあるんでしょうか。


◎ものづくり支援課長(山中政明君) デザイン事業所の数でございますけども、委員お示しのように、東京に次いで大阪は多いようでありまして、ちなみに統計データによりますと、東京は一千六十三と、次に大阪が八百十五と比較しますと、愛知が三百八十五、神奈川が百十四と、このような統計データが出ております。
 加えまして、デザインの専門教育機関でございますけれども、大学と府立の工科高校にもデザイン関係の専門コースがございます。そしてまた、デザイン専門学校が府内では三十一校ございまして、これらのところで学んでこられた若手のデザイナーというのが、大阪で活動できる有望な人材だろうかなと、このように思っております。


◆(三浦寿子君) かなりやっぱり意外と愛知よりも多いのでびっくりしたんですけれども、私も何人かデザイナーの方と交流させていただくんですけれども、やはり大阪では仕事がないということで、せっかくこうやって専門学校とか大学を出てこられても、仕事もされてても、結局東京に行ってしまうという、そういう実態というのが大変多いと思います。なかなかやっぱり大阪には定着されないというのが現実かなと、そのように思うんですけれども、しかしこういった状況の中で、昨年度からこれ実施されているんですけれども、ビジネスマッチングブログというのを実施されているんです。これは、中小企業とデザイナーのものづくりを支援するブログサイトとして、全国でも珍しい自治体の取り組みであると聞いているんですけれども、二十年度の概要についてお伺いします。


◎ものづくり支援課長(山中政明君) お尋ねのビジネスマッチングブログでございますが、ものづくり企業やデザイナーが日々の活動状況を、ものづくりに関する考え方などを含めましてブログ形式で記述しておるものでございます。このサイトを通じましてその情報が発信されておりまして、会員同士の理解がここで深まっておりまして、会員同士によりますところの新たなビジネスマッチングの場を提供するサイトとして運営したものでございまして、二十年度末のこのサイトへの会員数でございますが、ものづくり企業が八十二社、デザイナーが百四十五社となっております。
 そして、デザイナーとものづくり企業のマッチング事例でございますが、若手のデザイナーがデザインいたしました組み立て式のダンボールいす、これをダンボール製造会社が商品化したもの、そしてまた和紙による時計部品のデザインを会員の金属加工会社が商品化したもの、このようなものがございます。
 こうした事業は、デザイナーの情報発信やビジネスチャンスの提供の場でもございまして、中小企業のデザイン活用とともに若手デザイナーの活動支援にもつながっており、今後も期待しておるところでございます。


◆(三浦寿子君) まだまだ会員数が、デザイナーの関係で百四十五社ということで、大阪は八百十五あるということですので、どんどん参加をやっぱり進めるような工夫もしていただかなければいけないなと思っているんですね。
 しかしながら、このブログというのは、大阪だけではなくて近畿二府五県が会員対象となっているということで聞いています。神戸では、昨年、デザイン都市宣言をされたということで、すごく世界に発信されているという大きな事業を展開されているわけです。また、京都では、伝統芸術、そういう技術の文化をしっかり持っておられますので、そういう意味では、このブログに兵庫とか京都の方がいわゆる参加していただければ大阪のものづくりとまたマッチングできるという、本当に大きな展開ができるんではないかなと期待しているところでございます。
 ただ、まだまだ大阪のものづくり中小企業というのは、積極的にデザインを活用したり、商品開発における付加価値というのを今後活用することによって付加価値を上げて全国に発信している企業はあるけれども、やっぱり東京と比較すると、企業の取り組みがおくれている感じがします。
 例えば、サントリー美術館というのは、デザインの象徴の美術館であったわけですけれども、大阪ではやっぱりあかんかったんかなと、閉館になるのでそれは大変残念に思うんですね。しかしながら、この間、水都大阪の事業がありましたけど、その中で服部さんというような大阪で有名なクリエーターが活躍されていると。そういう意味では、さまざまな事業を展開する中で、まだまだ元気なデザイナーさんやクリエーターはたくさんいらっしゃるということで、ちょっと勇気づけられたんですけれども、そのためにも、これからデザイン力を高めるためには、中小企業とデザイナーをつなぐ関係機関のネットワークは大変重要だと思いますし、そのためにも地域の商工会や商工会議所のネットワークはもちろん大切ではないかと思っています。これは、近畿二府五県、それぞれ広げていただきたいと思うんです。
 もう一つ、ちょっと私も気になるのは、大阪市にも財団法人大阪デザインセンターというものがありますね。ここは、デザインビジネスプロモーションセンターも運営されていまして、デザインの人材育成やデザイン事務所の紹介、デザイン情報の収集というのもやっておられますし、企業とデザイナーをマッチングさせるシステムを何か同じようにやっておられるんですけど、やはり大阪府の産業デザインセンターが、これから大阪市とお互いにあり方というか、役割分担をしっかりしていくのか、それともやっぱり専門職員を総合的に活用していくのかがこれからの大きな課題−−大阪がものづくりプラスデザイン力で商品開発するためには、やっぱり一体となった取り組みが私は大事ではないかと思います。
 そういう意味で、これからの大阪府と大阪市のそれぞれのデザインセンターのあり方というのをやはり今後ちょっと検討していってもらいたいと思います。それによって、大阪府内の中小企業におけるデザイン力の理解と人材育成も通じて、ものづくり企業プラス魅力ある付加価値の高い商品開発を実現してもらいたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。