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平成20年9月30日(火) 定例本会議 |
大阪府議会議事録より転載 |
◆(三浦寿子君) 公明党の三浦寿子でございます。 一般質問の機会をいただきましたので、私のほうからは、子育て支援の充実、千里ニュータウンの再生など、府政を取り巻く諸課題について順次質問をさせていただきます。 初めに、子育て支援の充実についてお伺いします。大阪府こころの健康総合センターで、小児・思春期外来も担当しておられる精神科医の原田正文氏が、一九八〇年と二〇〇二年から二〇〇四年の二回にわたり行った子育ての実態調査によりますと、小さな子どもに触れる経験がないままに親になる人がふえ、育児というマニュアルがない世界に戸惑う母親が急増し、その結果、現代日本の親たちが、深刻な精神ストレスを抱えているということがわかりました。ここで、調査の一部を紹介します。 このパネルですが、例えばあなたは御自分の子どもが生まれるまでに、他の小さい子どもさんを抱いたり遊ばせたりした経験はありましたかという質問に対しては、この右の赤いところを見ていただきたいんですが、一九八〇年の段階では、そのような経験が全くないという親は一五%であったのが、二〇〇三年の調査では二六・九%と増加し、逆によくあったという親は四二・三%から三二・三%へと減少しております。 次に、近所にふだん世間話をしたり、赤ちゃんの話をしたりする人はいますかという質問に対しては、これは四カ月児健診での結果なんですが、いないと答えた方が、この右の赤いところですが、一五・五%からこの下にいきまして二〇〇三年には三四・八%へと二倍以上に増加し、三人に一人の親が孤立している現状がうかがえます。 また、育児でいらいらすることは多いですかという質問では、一歳半、これそれぞれ下の段ですが、一九八〇年には一〇・八%だったものが、二〇〇三年には三二・六%、十人に一人だったものが三人に一人になっており、三歳児では一六・五%が四六・三%と約三倍になっています。 こういった調査は、内閣府が調査した結果も同じような状況が出ており、子どもがいる女性の六三%が育児の自信がなくなる、また六四%が自分のやりたいことができなくてあせる、七五%が何となくいらいらすると答えております。こういった調査でも、育児不安や子育てに伴うストレスを感じている親が多いことがわかります。 改めて、子育てが孤立化し、育児に不安や負担を抱えている親が多いことがうかがえ、地域や行政の子育て支援の必要性を感じるところであります。 現在、国では、虐待への発展可能性も懸念される閉じこもりがちな家庭などを発見し、支援するためのこんにちは赤ちゃん事業や育児支援家庭訪問事業を進めていますが、まだまだ実施されている市町村は十分ではありません。 今後、こういった閉じこもり家庭の発見、支援について、府はどのように取り組んでいくのか、またそこに至らない育児不安や孤立を訴える母親などをどう支援していくのか、あわせて健康福祉部長の答弁を求めます。 ○副議長(鈴木和夫君) 健康福祉部長笹井康典君。 (健康福祉部長笹井康典君登壇) ◎健康福祉部長(笹井康典君) 子育て支援の充実についてお答えをいたします。 乳幼児期は、母子が密着して過ごすことが多く、孤立化しやすいことから、母親の育児ストレス、また不安感が軽減されるよう、きめ細かな支援が必要と認識をしております。 閉じこもりがちになっている中で問題を抱え、何らかの支援の必要な家庭の早期発見、早期支援については、お示しのように、こんにちは赤ちゃん事業、また育児支援家庭訪問事業が、すべての市町村で実施されるよう、両事業の先進的事例のほか、人材の質の確保、また見守りの視点など、府独自の事業実施上のポイントも加えたガイドラインを策定しており、これをお示しすることなどにより、市町村への働きかけを強めてまいりたいと考えております。 また、育児不安などを抱えた家庭を支援するため、身近な地域ですべての子育て家庭が気軽に集い、仲間づくりを行うとともに、子育てに関する相談にも応じることができる地域子育て支援拠点事業などを推進しているところであります。今後も、この事業の実施主体となる市町村に対し、府として必要な支援も行いつつ、一層の働きかけを行ってまいります。 ○副議長(鈴木和夫君) 三浦寿子君。 (三浦寿子君登壇) ◆(三浦寿子君) これまでの支援も一つの子育て不安を緩和する施策でありますが、まず自分への自信を取り戻し、また自信を持って育児に取り組むことができる親育てが重要だと思います。 昨今、交流の促進役、進行役でありますファシリテーターが中心となり、必要に応じて専用テキストをひもときながら、対話を通じて育児のノウハウを学ぶという親育て事業が多くの自治体で実施されています。 既に、大阪府の教育委員会では、大阪府社会教育委員会議の提言を受け、平成十六年度からこういった幅広い世代を対象とした親学習プログラムの研究開発が進められ、地域でそのプログラムを進行していただくリーダーを三年間で三百九十三人養成してこられました。 しかし、これらのプログラムや人材の活用は、教育委員会の所管の範疇にとどまり、親子の関係が一番大切な乳幼児期については、所管が違う部であるがためか、残念ながらこれらが活用されておりません。このことは、まさに縦割り行政の弊害であり、部局間の連携体制が不十分であったためと言わざるを得ません。 子育ての問題を解決していくには、これまでの蓄積を最大限に活用していくことが何より重要で、このような行政の縦割りを打破し、関係部局が一体となって取り組むべきであります。 また、新たな交付金制度では、市町村が意欲的に取り組みやすいよう、こうした親育て事業も施策の事業例として明示し、また十分な財源を確保すべきであります。 ミネソタ州では、十年近くの実践研究の評価により、乳幼児期に一ドル惜しむと、後で七ドルのつけが回ってくるという結果が出たとのことです。 乳幼児期の投資は、未来への大きな投資、決して惜しんではなりません。あわせて、知事の所見を伺います。 ○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。 (知事橋下徹君登壇) ◎知事(橋下徹君) 三浦議員の御質問にお答え申し上げます。 子育て支援の一層の充実を図るには、全庁一体となって施策を推進する必要があると認識しており、御提示の親学習プログラムについても、教育委員会とも連携し、市町村における子育て支援の現場でも活用できるよう取り組んでいきます。 また、交付金制度につきましても、御提示の観点を含め、子育て支援に関する課題や施策例を示しながら、市町村において子育て支援施策がより一層推進されるよう支援していく必要があると考えます。 なお、交付金額につきましては、市町村との協議を始めるに当たり、一定の目安として示したものでありまして、今後、市町村との協議調整を行い、制度化を図っていきます。 ○副議長(鈴木和夫君) 三浦寿子君。 (三浦寿子君登壇) ◆(三浦寿子君) ぜひ交付金、よろしくお願いいたします。 我が党の代表質問でも訴えたところですが、妊娠期から乳幼児期を通じて青少年期までの子どもと家庭をサポートする施策の充実とその推進体制の整備が、改めて重要であると思いました。親育て事業については、各部が持つこのノウハウ、そして人的資源、そして場所、情報など、それぞれ総合的に生かし、きめ細かな事業の充実をお願いしたいと思います。 次に、未受診等妊婦対策についてお伺いいたします。 大阪府では、市町村における妊婦健診の公費負担への取り組みを促した結果、公費負担の平均回数は、昨年八月から二回増加し、三・五回となりましたが、それでも全国ワーストツーというのが現状であり、全国平均の五・五回には遠く及びません。 昨年一月、厚生労働省は、妊婦健診への助成回数は十四回程度にすることが望ましい、財政的に厳しい場合でも五回程度の助成を原則とすると併記し、各市町村へ通知いたしました。これは、出産を安全に迎える上で最低限必要な節目の健診が五回と考えられるからであります。五回の助成は、各市町村の責務だと言えますが、安全安心な出産のためにも、大阪府としても、平均三・五回というこれらの状況から脱するための取り組みを行うべきです。健康福祉部長の答弁を求めます。 昨年夏、奈良で十一の病院に搬送受け入れを断られ、死産したという痛ましい事件が起こりました。病院側が断った理由の一つは、妊婦健診が未受診ということからでした。 未受診妊婦の出産の場合、妊婦、新生児ともに異常が多く、妊婦の胎盤剥離率は通常の十倍、呼吸障害など治療が必要な新生児の割合は二十倍との調査結果も出ており、医療的にハイリスクであり、高次医療機関でしか対応できないためであります。 このような飛び込み出産をされる妊婦の方々への対策としては、府でも周産期救急医療の充実にも取り組まれていますが、それはいわば川下の対策であり、真の解決に結びつけるためには、いわゆる飛び込み出産をしないよう川上の対策の充実も図るべきであります。 また、このような妊婦の方々については、経済的な理由で健診等を受けられない、また望まずして妊娠してしまったなど、社会的なハイリスクがある方が多いとされていることから、経済面や心理面で支えていくような対策を講じていくことが必要だと考えます。 一方で、ことし十月に国が発表した調査結果では、妊娠届けがおくれてしまう理由としては、六一・四%が未把握となっており、実態が見えにくく難しい課題でありますが、それだけに放置できない課題だと考えます。 妊婦健診の公費負担による経済面からの支援を充実させることに加えて、速やかに実態を調査し、実効性のある対策に力を入れていくべきではないでしょうか。あわせて、健康福祉部長の御所見を伺います。 ○副議長(鈴木和夫君) 健康福祉部長笹井康典君。 (健康福祉部長笹井康典君登壇) ◎健康福祉部長(笹井康典君) 未受診など妊婦対策についてお答えをいたします。 母体と胎児のとうとい命を守り、健やかな出産につなげるために、飛び込み出産、また妊婦健診を受けない妊婦への対策として、妊婦みずからが積極的に妊婦健診を受け、出産に望む環境を整えていくことが重要と考えております。 まず、経済面から妊婦を支える健診の公費負担につきましては、今お示しがありましたが、ワーストツーという状況を脱し、またすべての妊婦がしっかり健診を受けるという観点から、市町村の公費負担回数をふやしてもらうことが重要であります。このため、今年度は、市町村に対し公費負担の実態調査を行うとともに、その充実について働きかけを行ってきたところであります。今後とも、妊婦健診の回数の増加に向け、市町村の意見も聞きながら、府として妊婦健診公費負担の一層の取り組みを促していきます。 また、経済面以外での対策ですが、まず現場の視点で、なぜ飛び込み出産や妊婦健診未受診という事態に至るのかといった理由や、どのような支援が必要なのかなどにつきまして、まずしっかり把握することが重要と考えております。このため、助産師などが積極的に現場に出向き、妊婦の声を直接聞くことなどによる実態把握を行ってまいります。 その結果を踏まえ、個々の課題に応じて関係機関が連携してかかわっていく必要のある、いわゆる社会的なハイリスクを抱える妊婦への対応について相談、支援など今後展開すべき施策を府として明らかにし、実施につなげてまいります。 ○副議長(鈴木和夫君) 三浦寿子君。 (三浦寿子君登壇) ◆(三浦寿子君) 次に、河川の急な増水に対する安全対策についてお尋ねします。 河川は、そのせせらぎの音でいやされたり、子どもらが魚とりで楽しんだりと、府民にとってやすらぎ、憩いの場としてとてもよい一面があります。 私の地元の吹田市を流れる糸田川でも、もっと川を利用したいという地元住民の声が高まり、護岸に階段を設置していただき、これにより、今後、地元住民の方々による河川清掃、そして子どもたちの川遊びなど、河川を利用した活動が一層盛んになるものと思います。 しかしながら、川には、本来恐ろしい一面もあることを忘れてはなりません。河川の急な増水の原因となる局所的集中豪雨は、いつ、どこで起こるかわからず、私の地元、糸田川でも起こるのではないかと大変危惧しております。 河川の親水公園の安全対策としては、警報装置の設置を進めるとのことですが、子どもたちは親水公園などが整理されていない自然の河川でも多く遊んでいます。警報装置の設置のほかにも、他の手段も用いて注意喚起を行うべきと考えます。 さきの我が党の代表質問で、携帯電話やインターネットを活用した気象情報などの提供について都市整備部長から答弁がありましたが、携帯電話を活用して河川を利用している方々にリアルタイムに気象情報を伝え、注意喚起することが非常に効果的だと考えます。 大阪府では、事前に登録した府民に、自動的に防災情報などを配信するサービスを既に実施していますが、登録者は一万八千人にとどまっており、私の議会の会派のほうの議員でもほとんど知らなかったというのが現状ですが、こうしたサービスがあることをPRし、もっと利用者をふやすべきであります。 現在の大阪府における気象情報は、北大阪など大きなブロック単位の情報であり、急な増水時に本当に役立つか疑問であります。例えば、市町村単位など、より小さなブロックで気象情報を提供するなど、サービス内容をさらに充実すべきと思いますが、都市整備部長の御所見を伺います。 次に、留学生施策の推進についてお伺いします。 かつて日本は、八十年代に留学生受け入れ十万人計画を掲げ、アジアにおける経済大国の責任を教育を通した援助という形で実施してきました。しかし、留学生政策は、アジアや世界の人、物、金、情報の流れを拡大するグローバル戦略を展開する一環として、国を挙げての国際的な高度人材獲得、育成政策に変化してきていると言われています。 留学生は、将来の指導者としての活躍が期待されるだけではなく、日本の理解者として相互理解の増進や人的ネットワークの形成に大きな役割を担います。このため、ことし七月、政府も留学生三十万人計画を掲げ、海外からの留学生の受け入れに本腰を入れ始めました。 福岡県では、自治体、大学、経済界が一体となった留学生を支援する福岡県留学生サポートセンターがことし七月にオープンいたしました。生活相談窓口、アルバイトの紹介、就職支援、交流促進、県内の大学の国内外向け広報など、さまざまな事業を展開することにより、世界を舞台にする人材を輩出することを目指していると聞いております。 大阪がアジアの中で魅力と存在感のあるにぎわい都市を目指すためには、アジアとの関係を強化していくことが不可欠であり、留学生の受け入れは、大阪府にとっても重要施策であり、大学入学前から卒業後までの一環した施策推進が必要と考えます。 留学生の受け入れに当たっては、受け皿となる住宅の確保が重要であり、あわせて生活情報の提供、相談対応、またさまざまな交流の機会づくりなど、留学生が安心して暮らせる生活環境が整っていることが必要です。しかし、大阪府は、近く千里留学生会館を廃止、売却するとしています。府として、この会館にかわる留学生のための住宅をどのように確保されようとしているのでしょうか。 また、留学生の日本企業への就職率は、希望するものの半分にも満たず、人材の活用といった観点からも、まことに惜しい状況にあります。 そこで、今後の留学生施策の推進に当たっては、卒業後の就職支援など、世界の若者に大阪へ留学したいと思わせるような施策を実施していくべきと考えますが、あわせてにぎわい創造部長の御所見を伺います。 ○副議長(鈴木和夫君) 都市整備部長福田保君。 (都市整備部長福田保君登壇) ◎都市整備部長(福田保君) 河川の急な増水に対する安全対策としての気象情報の提供についてお答えします。 河川を利用される方々に、急激な増水による危険をみずから回避していただくためには、リアルタイムで気象情報などを提供できる携帯電話の活用は有効であると考えております。 本府では、事前に登録していただいた携帯電話に、注意報や警報などの防災情報を自動的に配信する大阪防災情報メールを平成十九年三月に立ち上げたところでございます。 今後は、本府や市町村の広報誌、学校などを通じて広くPRし、その利用拡大に努めてまいります。 また、近年の雨の情報を見ますと、限られた地域に多量に雨がふることから、議員御指摘のように、市町村ごとのきめ細かな気象情報が有効であると認識しております。このため、気象台と市町村ごとの気象情報が発表できるよう早急に協議を進めるとともに、その情報を大阪防災情報メールで提供するなど、サービスの内容の充実に積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(鈴木和夫君) にぎわい創造部長正木裕君。 (にぎわい創造部長正木裕君登壇) ◎にぎわい創造部長(正木裕君) 留学生施策の推進でございますが、大阪がにぎわいある都市として持続的に発展を続けていくためには、海外から幅広い分野の多彩な人材が集う都市づくりを目指すことが不可欠と認識しております。 とりわけ、留学生は、学術研究レベルの向上や産業の国際競争力の強化に必要なだけではなく、相互理解と友好関係を深めるかけ橋としても、貴重な人材と考えているところでございます。 千里留学生会館につきましては、老朽化をいたしております上、耐震性能の不足が明らかとなったため、今年度末で廃止し、売却することといたしましたが、お示しの国の留学生三十万人計画の策定など留学生の受け入れを進めていく必要があること、大学、地元市等の関係者の強い御要望を踏まえまして、売却に当たりましては、留学生の宿舎機能を盛り込む開発を条件としたコンペを年度内に実施し、民間による整備を図ってまいりたいと考えております。 また、留学生は、卒業後にその国、地域で就職できるかどうかが、これを留学先決定の大きな判断材料にしておりますことから、ことし六月、商工労働部とともに、国や府、国際交流財団等の関係機関と連携し、企業約三十五社、留学生約千二百名を集め、就職説明会を開催したところでございます。 来る十一月十七日には、さらに多くの企業、留学生の参加をいただき、大阪国際会議場で第二回目となる説明会を実施することといたしております。 大阪への留学の魅力をさらに向上させるため、大阪に関するさまざまな情報の発信や本府の先導的な取り組みが期待されている就職支援、住宅、生活等の情報提供や相談支援など、留学生から要望の多い施策の拡充を図ってまいりたいと考えております。 また、日本語教育や府民との交流の場づくりなど、大学やNPO等の多様な取り組みを支援するなど、関係機関と連携し、アジア、そして世界の学生から、日本に留学するなら大阪と言われるように頑張ってまいりたいと存じます。 ○副議長(鈴木和夫君) 三浦寿子君。 (三浦寿子君登壇) ◆(三浦寿子君) 気象情報の配信については、まずはこの事業を皆さんに知っていただくことが大切です。本当に親しみやすいメール名にするなど、PRに積極的に努めていただくよう、よろしくお願い申し上げます。 最後に、千里ニュータウンの再生についてお尋ねします。 大阪府では、吹田市、豊中市とともに、昨年の十月に千里ニュータウン再生指針を策定されました。これは、今後続くほかのニュータウンの再生、さらには他のまちづくりのモデルとなり、指針となるものと期待しております。 まちづくりは、住民に身近な自治体である市町村が主体的な役割を担うべきことは言うまでもありませんが、千里ニュータウンの再生が全国的に注目されている取り組みであり、そのポテンシャルを最大限活用して、大阪を魅力あるまちにしていく調整役として大阪府の役割も大きいと考えています。 また、千里ニュータウンは、住宅の六割を府営住宅、公社住宅など公的賃貸住宅が占めるなど、大阪府は事業者としての役割も重要であります。 平成十七年の一般質問でも指摘してきましたが、府営住宅や公社住宅の建てかえについてでありますが、単純に建てかえるのではなく、まちの活力を高めるためにも、多様なニーズへの対応、多世代居住の推進を住宅事業者などが連携して進めていく必要があると考えますが、住宅まちづくり部長の御所見を伺います。 次に、私は、ニュータウンという一つのまとまった地域で、地元吹田市、豊中市、住民事業者がこぞって環境の問題に重点的に取り組んでほしいと考えています。 千里ニュータウンには、四十五年以上かけてはぐくまれた豊かな緑があり、千里のシンボルである竹林では、NPOの竹の会の活動など、住民の活動も盛んに行われております。 一方で、府営住宅や公社住宅など公的賃貸住宅や古くなった分譲マンションの建てかえラッシュが今始まっています。建てかえの仕方によっては、環境をよくする方向にも、また悪くする方向にもなり得ます。 居住環境の向上を図るとともに、これまで培ってきたまちの雰囲気を残すことや、将来の変化に柔軟に対応できる計画にするなど、さまざまな工夫が必要だと思います。 千里ニュータウンの再生を進めるに当たり、府営住宅や公社住宅の建てかえに際しては、環境に配慮した設計を行うほか、今後の変化に柔軟に対応し、持続可能なまちとして成長できるよう、住民、NPO、事業者、行政などが一体となって環境のまちづくりのモデル地域として再生に取り組むべきと考えますが、あわせて住宅まちづくり部長の考えをお聞かせください。 ○副議長(鈴木和夫君) 住宅まちづくり部長戸田晴久君。 (住宅まちづくり部長戸田晴久君登壇) ◎住宅まちづくり部長(戸田晴久君) 千里ニュータウンの再生の取り組みについてお答えをいたします。 高齢化が進行する千里ニュータウンにおいて、若い世帯向けを初めとした多様な世帯に対応した住宅の供給を進めることが重要であると認識をしております。このため、府営住宅や公社住宅の建てかえに当たりましては、建てかえで生み出される用地の処分要件といたしまして、多様な世代に対応した住宅や子育て支援施設などの提案を求めますとともに、既に建てかえが進んでいる公社住宅におきましては、新婚子育て世帯向けの入居者募集を進めてまいります。 また、住宅事業者間の連携につきましては、建てかえに伴う入居者の仮移転先として既存の公的賃貸住宅を活用するなど、その取り組みを進めてまいります。 今後とも、府営住宅や公社住宅の建てかえにおいて、多様な世代のニーズに対応した住宅供給などを促進し、住宅事業者として千里ニュータウンの再生に貢献できるよう取り組んでまいります。 次に、千里ニュータウンにおける環境のまちづくりにつきましては、議員御指摘の千里ニュータウン再生指針におきまして、環境負荷に配慮した設計や緑の保全と活用などを取り組み方針として位置づけており、公的賃貸住宅の建てかえにおいても、この方針に沿ってシンボル的な樹木の保全や公園緑地などの緑のネットワーク、屋上緑化など環境に配慮した設計に努めてまいります。 今後、地元市の環境まちづくりの取り組みを中心といたしまして、住民、事業者、行政など多彩な主体による先進的な環境まちづくりの推進方策につきまして、府、市を初め、関係団体で組織しております千里ニュータウン再生連絡協議会の場を活用し、検討を進めてまいります。 ○副議長(鈴木和夫君) 三浦寿子君。 (三浦寿子君登壇) ◆(三浦寿子君) 千里ニュータウンの再生は、一地域の問題ではありません。日本初の本格的ニュータウンである千里は、その再生においても全国でその動向が注目されているのです。 そして、この二月には、多摩、高蔵寺、明舞など、全国のニュータウンの住民たちが集まって、ニュータウン人縁卓会議が千里で開かれるなど、再生に対する住民意識は高く、その動きは活発であります。 大阪府も、千里ニュータウン再生指針策定など一定の取り組みを進めてこられましたが、千里というブランドの魅力をさらに高めるなど、広域的な視点で取り組むことで、多くの人々が注目する大阪のまちづくりのモデルとしていくことができると思います。 大阪府で現在検討が進められている将来ビジョン・大阪においても、水とみどり豊かな新エネルギー都市大阪、子どもからお年寄りまでだれもが安全・安心ナンバーワン大阪といった将来像イメージを提示されていますが、このイメージも活用して、府としても千里ニュータウンの再生に取り組むべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 ○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。 (知事橋下徹君登壇) ◎知事(橋下徹君) 千里ニュータウンは、日本初の本格的ニュータウンであり、名神高速道路の開通、万博の開催、その後の大阪大学や国立民俗学博物館など、周辺への大学や研究施設の立地によって、日本の中で先駆的なまちであったと言っても過言ではありません。 まちとして成熟している千里が、緑豊かな環境に囲まれ、子どもやお年寄りが安心して暮らし、地域と大学が交流するオンリーワン、ナンバーワンのまちとなるよう、地元市や府民の皆さんとともに再生の取り組みを進めていきます。 ○副議長(鈴木和夫君) 三浦寿子君。 (三浦寿子君登壇) ◆(三浦寿子君) 知事の前向きな御答弁、ありがとうございます。 リニューアルのモデルとして、ナンバーワンのまちとなるため、再生指針に示された内容が着実に実施できるように大阪府がコーディネーター役となり、関係市、地域、各団体と一体となった取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) |