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平成19年10月10日(水) 定例会健康福祉常任委員会 |
大阪府議会議事録より転載 |
◆(三浦寿子君皆さん、おはようございます。公明党の三浦寿子でございます。 きょうは私のほうから、大阪府における発達障害者の支援施策について、そしてまた認知症対策、そして虫歯対策について、この三点にわたり質問をさせていただきたいと思います。 それでは初めに、発達障害者の支援についてお伺いいたします。 平成十七年四月に発達障害者支援法が施行されました。身体障害者、また知的障害者、精神障害者という従来の障害種別ごとの法体系の谷間に置かれてきたこの発達障害についての我が国では初めての立法であり、この発達障害者支援法が施行され二年半が経過しました。 相談や医療等の支援体制は徐々に整備されてきておりますが、発達障害者本人や家族の不安は大きく、これまでにも私のもとにお母さん方、特に小学校行かれているお母さん方が、先生から言われて急遽学級が変わった、これどういうことやとか、その先生と相談されればいいんですけれども、そういう不安というか、そういうものが多くて、よく相談に来られることがあります。でも、そういった中で、まだまだこの発達障害に対する認識また支援体制というのは、厳しい状況ではないかと思っております。 大阪府では、これまで法施行よりも早く平成十四年から発達障害者に対する相談支援、また就労支援、そして発達障害の普及や啓発等を行う拠点として大阪府発達障害者支援センターというアクトおおさかが設置されまして、自閉症に関する課題、また発達障害を持つ人たちへの相談や支援事業をされているということを聞いております。 これまでの発達障害者及びその家族がどんな不安や悩みを持っておられるのかについて、これまでアクトおおさかにおける相談件数、また最近の傾向について説明をお願いしたいと思います。 ◎地域生活支援課長(北村元伸君) 大阪府発達障害者支援センター−−アクトおおさかは、自閉症などの特有な発達障害を有する障害児者に対しまして、総合的な支援を行う府域の拠点ということで、平成十四年六月から社会福祉法人北摂杉の子会に委託いたしまして運営しているところでございます。 アクトおおさかにおきましては、発達障害者の生涯にわたる一貫した支援体制の構築に向けて、関係機関との連携のもと、発達障害者及びその家族等に対します相談支援、発達支援、就労支援、発達障害に関します正しい理解や支援手法の普及啓発及び研修事業などを行っているところでございます。 相談支援の件数についてでございますが、平成十四年度は九十六件、十五年度は二百六十四件、十六年度は四百二十三件、十七年度五百五十六件、十八年度は九百八十七件というふうに年を追うごとに伸びが顕著となっている状況でございます。 また、直近三カ年の対象者別の伸び率を見てみますと、乳幼児期が七〇%の増、学齢期が一二七%の増、成人期が二二〇%の増ということで、成人期の伸びというのが著しいということがこれでわかるかと思います。 相談内容についてでございますが、乳幼児期から成人期にわたりさまざまな相談が寄せられておりまして、主なものを申し上げますと、乳幼児期につきましては、確定診断を行う医療機関や専門的な療育を行います施設に関する問い合わせが多くなっております。また、最近の傾向といたしましては、成人期の知的障害を伴わない方からの就労に関する相談というのが急増している状況でございます。 ◆(三浦寿子君) 今お答えでは、乳幼児期においては医療機関に関する相談件数が多いということでしたが、発達障害を適切に診断できる専門の医療機関が不足しているということは現状でございまして、大阪にあります、枚方ですかね、府立松心園というのは非常に待機者が多いと聞きます。これも、以前から私もこの待機何とかなれへんかということで、よく相談を受けます。早くて予約するのに一年、また長かったら三年か四年待たなあかんということで、三歳の人が受診するときにはもう七歳ぐらいになっていて、発達はもうどうなっているんやろうというふうに不安を覚えます。 そういう待機中の保護者の不安を解消するためにも、その外来機能というのはもちろん強化する必要がありますが、より身近な地域において検診が可能な医療機関を多く確保することがまたさらに重要ではないかと思います。 乳幼児健診や一般の小児科での健診において発達障害の気づきがある場合、まず地域の医療機関が診断できる仕組みをつくるとともに、その医療機関で対応が難しいケースの場合は府立の松心園で対応していくという役割分担等、そういった体系的な支援体制が望まれるのではないかと思います。 地域で適切な診断を受けることができるようになれば、この府立松心園での対応するケースも減少するのではないかなと考えます。 大阪府では、市町村の保健センターや子ども家庭センター等からの紹介を受けて診断を行う協力医療機関の拡充に向けた取り組みを行っていると聞いていますが、その現状、また今後の対応についてお伺いします。 ◎地域生活支援課長(北村元伸君) 地域におきまして乳幼児等の発達障害の診断が行える医療機関というのは、不足している現状にあるというふうに認識しております。 協力医療機関の状況につきましては、乳幼児健診を行います市町村保健センターとの連携体制や確定診断後のフォローというものが不十分である等の課題がございまして、現在のところ府内の十五カ所の医療機関の協力を得るということにとどまっている状況でございます。 大阪府といたしましては、地域の医療機関や療育施設等の関係機関から構成されます協力体制検討委員会を昨年九月に設置いたしまして、協力医療機関の拡充と府立松心園及び療育施設との連携のあり方等につきまして、現在検討を進めているところでございます。 今後、この協力体制検討委員会での検討結果を踏まえまして、より多くの医療機関の協力が得られ、また協力医療機関としての機能が発揮できますよう、課題の解決及び環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆(三浦寿子君) 今のお答えの中でも、医療機関の協力に当たって課題があるということでしたが、私もある医療機関から、協力医療機関として発達障害の確定診断を下しても、その後地域における療育等の具体的な支援の受け皿がないというのが現状で、そういった点で責任ある対応がとれないといった声も聞きます。 また、大阪府では、今医療圏ごとに療育拠点施設の整備も進められておると聞いております。その府立松心園がある北河内圏を除く圏域で整備がされているということですが、そのいずれの施設においても定員を大幅に上回る応募があると聞いております。 そういうことから、療育拠点病院だけでは府域の発達障害者の利用のニーズにこたえられる状況にはないのではないかと考える次第です。 もちろん、そういう対応が可能な通院のそういう施設また受け入れの拡充というのはもちろん図っていかなければいけない課題だとは思いますが、子どもたちがふだんから通っているいわゆる障害児の通園施設やまた親子教室、また保育所、また地域にある幼稚園、そういった身近な社会的な資源で個別の支援計画に基づく適切な支援が受けられるようにする必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。 ◎地域生活支援課長(北村元伸君) 発達障害の確定診断を受けた後は、発達障害の特性に応じた療育を早期に行うということが重要でございます。 本府といたしましては、政令市を除くすべての医療圏ごとに療育拠点施設を整備するという方針のもとに、これまで五圏域でその整備を図ってきたところでございます。 今後、未整備となっております北河内圏域での療育拠点施設の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。 また、委員お示しのとおり、療育拠点施設ということだけでなく、身近な地域で療育が受けられる体制の構築ということが非常に必要であるというふうに認識しておりまして、このため、発達障害児がふだん通っております保育所等におきましても個別支援計画を立てて、それに基づく適切な支援といったものが実施できますよう、療育ノウハウを療育拠点施設から地域のほうへ積極的に広めていくということを考えてまいりたいというふうに考えております。 ◆(三浦寿子君) ぜひとも、こういう地域の保健所や幼稚園などでも個別の支援計画を立てて、そういう発達障害児に対する適切ないわゆる支援ができるよう取り組んでもらいたいと思います。 これは他府県の例なんですが、このいわゆる個別支援計画や成長記録を就学後においても引き継ぎ、特別支援教育やその後の福祉の場面でも活用しているという例があります。 これは、滋賀県の湖南市というところでございますが、この発達障害児の対策というのを、この十八年度から地域における各支援機関等の連携体制の整備というのが求められてきたわけなんですが、市町村では個別支援計画の策定等を行うなど、地域における発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制の整備を進められることが目的とされているとあります。 この湖南市においては、そういった取り組みがされているということで、実は行政には縦割り行政という弊害があります。例えば、保健担当部局が、乳幼児健診そして療育事業を行う。また、児童福祉部門が、障害児保育を行う。また、教育委員会は、特別支援教育を行っている。また、障害福祉関係、また商工労働関係が、福祉的就労といわゆる一般就労、それぞれライフステージに応じて事業化しているわけですが、しかし縦割り行政の弊害で、そのいわゆる行政の連絡というか、行政間のすき間ができて、そこをつなげるのが難しいということがやっぱり一つの課題ではないかと思います。 そういった点で、ここの市町村はそういういわゆるつなぎをなくすということで、健診等で障害が判明したら、生活支援や就労に至るまで一貫して支援する仕組みづくりをつくっていると。また、健診そして療育、障害児保育、特別支援教育、就労の各行政の充実を目指し、各行政間のつなぎとして個別指導計画を活用しております。 子どもが抱えている発達的な問題や支援を必要とする内容をこの個別指導計画に書き込み、障害が判明してからのいわゆる療育、保育そして幼稚園、小学校、中学校までこの計画書が活用され、さらには教育段階から就労に向けた計画書である個別移行計画の作成にも取り組んでいるということです。 もちろん、各部局間ですからそういった点で関係する部局との連携ということが大事で、連絡会議も開催され、発達支援室を設けてそこを中心にこの事業が取り組まれているということでございます。 そういう意味で、これは大事なことではないかと思っているんですが、そういう意味でこの個別支援計画ということを大変立てていくことが大事かというふうに思いますし、またさらにはこういう計画を策定するコーディネーターの育成も重要な課題ではないかと思います。 こういった一貫した支援を行うためには、こういう個別支援計画、もちろん就学前の成育記録など個人情報保護にも配慮しながら、この健康福祉部でしたら教育委員会へスムーズに移行されることが必要だと思いますが、その点についてはどうでしょうか。 ◎地域生活支援課長(北村元伸君) 学齢期以降におきましても一貫した支援を行いますためには、市町村レベルで福祉部局と教育委員会等々が十分連携を行いまして、保護者の意向を尊重しながら、個人情報保護にも十分配慮し、個別支援計画や成育記録を就学後においても引き継ぐなど、また特別支援教育やその後の福祉の場面で十分に活用していくということが重要でございます。 大阪府といたしましては、府教育委員会とも連携を図りながら、個別支援計画などを引き継ぎ活用している先進的な事例につきまして、市町村への紹介や研修に取り入れるなどによりまして、地域におきまして一貫した支援体制が確立されるよう働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(三浦寿子君) やっぱりこの発達障害というのは、早期発見、早期支援というのが本当に求められているところでございます。 相談を受ける中でも、先ほども言いましたように、小学校に入ってからそういう障害の疑いを指摘されたという例を言いましたが、もっと早く乳幼児の段階で発見し、また支援をしてほしかったという声も聞きます。そういった例から、乳幼児健診というものが本当に大事ではないかと思います。 特に三歳児などは、体の発育や精神発達の面からも本当に重要な時期で、こういう三歳児健診の拡充をまた図る必要があるのではないかと思います。 府内のほとんどの市町村の保健センターにおいては、この資料を見させていただきますと、発達健診や家族支援の相談に従事するいわゆる臨床心理士というものが大阪府内はほとんど配置されているというふうに伺っております。しかし、より発達障害のいわゆるスクリーニングの能力を向上させる、これがまた大事ではないかと思います。 発達障害の早期発見、早期支援に向けどのように今取り組まれているのか、また府の所見をお伺いいたします。 ◎地域生活支援課長(北村元伸君) 発達障害の早期発見、早期支援のためには、乳幼児健診に従事いたします医師、保健師等が発達障害に関する知識や技能を有する必要がございます。また、保育や教育現場の指導者にも発達障害に関する正しい知識がございませんと、気づきがおくれるとともに、不適切な対応によりまして二次障害を生起させてしまうというおそれがございます。 大阪府といたしましては、早期発見、早期支援に資するため、現在、地域の一般の小児科医等を対象にした研修、あるいは乳幼児健診に従事する市町村保健センターの心理士や保健師、保育現場に従事する保育士等々を対象とした発達障害の特性理解や適切な指導につきましての研修を実施しております。 今後は、医師、保健師等への研修に加えまして、より専門的な知識、技能が要求されます協力医療機関のスタッフや、成人期の診断を担う精神科病院・診療所の医師への研修を行いますなど、発達障害者支援にかかわります人材育成の充実に努めてまいります。 ◆(三浦寿子君) 今お伺いいたしまして、乳児とか児童、そういった子どもたちへのいわゆる支援というのは、そういったいわゆる定期健診、またはそういう関係協力病院、また療育施設など、そういう体制は徐々にではありますけれど整ってきているなと思います。 しかし、いわゆる今大事なのは、先ほどのアクトおおさかへの相談でもあるように、成人期のいわゆる相談がふえているということで、そういう成人期の発達障害者の支援というのが強く求められております。 私の吹田にありますある施設なんですけれども、これは社会福祉法人格を持っておられまして、いわゆる授産施設、そういうこともいろんな形で運営もされているんですが、そこではいわゆる成人期の発達障害を持つ人たちを預かっておられます。これは公的な支援を受けない形で、いわゆるほかの運用金を回して支援されているという実態がございます。そういう点で、今この成人期のいわゆる発達障害者への支援というのが、本当に求められているときではないかと思っております。 障害者手帳を持っていれば、いろんなサービスを受けられるわけですが、知的障害を伴わない発達障害者の多くは手帳を持っていらっしゃらないため、利用できるサービスがほとんどない。また、利用ができても、既存のサービスは知的障害者や精神障害者向けの発達障害者には適応していないということがまた指摘されているところでございます。 地域で自立した生活をするためには、就労によって生活の安定を図る必要がありますが、発達障害者の多くの方々は、その特性としてコミュニケーションをうまくとれないとか、職場の人間関係がうまくいかず離職、そして転職を繰り返し、在宅で過ごさざるを得ないというケースも多いということでございます。 これらの発達障害者の方々は、このまま放置されると、もちろんひきこもり、また二次障害を発現していくおそれがあると言われております。そういった中で、日常活動のいわゆる場の提供、そして社会生活の能力の訓練などの必要があると思いますが、そういったやはり施設の拡充というのは本当に必要ではないかと思うんですが、その点についてはどうでしょうか。 ◎地域生活支援課長(北村元伸君) 成人期の発達障害者に対する支援は緒についたばかりでございまして、今後こういった人たちに対する適切なサービスの充実を図っていく必要があるというふうに考えております。 国におきましても、発達障害者に対します就労支援というのが始まっておりますけれども、就労や社会生活を送る能力が十分備わっていないというようなことから、就労支援策も有効に活用することができない場合というのもございます。 本府におきましては、医療、保健、福祉、教育及び労働等の関係機関、それから成人期までの継続的で一貫性のある支援体制整備について検討を進めているところでございまして、今後そういう支援体制整備検討委員会での検討結果も踏まえながら、成人期における新たな取り組みといたしまして、府の労働関係部局等々とも十分連携して、アクトおおさかが蓄積しているノウハウを活用した就労促進、社会生活能力の向上のためのプログラムを開発してまいりたいというふうに考えております。 ◆(三浦寿子君) これまでほとんど対応されていなかった成人期の発達障害者の支援、これからまたこのアクトおおさかのノウハウを活用して、いわゆる新しい事業に積極的に取り組んでいくとのお答えをいただいたわけですが、大変初めての取り組みで、今後難しい点も多くあるかとは思いますが、効果の検証もしながらぜひ全国のモデルとなるような成果を上げていただけることを期待いたします。 また、今後アクトおおさかが、府域の総合的な支援拠点としての役割を一層発揮できるよう、またそういう施設になっていただきたいわけですが、今このアクトおおさかの実情を見ても、相談というのが大変多く受けられておりますし、また特に青年期等の相談の増加の実態も踏まえ、こういった中では大変人員の配置の体制の強化や、またこれからいろんな成人期の対応をされるわけですから関係機関の連携という、そういうものを強化することが大事になってくるかと思うんです。そういう意味では、このアクトおおさかの機能の拡充というものをしっかり府として支援していただきたいと思いますので、どうかその点要望させていただきます。 最後に、発達障害者の支援については、発達障害者支援法でも、先ほども言いましたように、部局の相互のいわゆる緊密な連携ということを大事にしていかなければいけないということで、各部局がばらばらに取り組むのではなく、いわゆる乳幼児期から成人期まで一貫して支援できるように、もちろん府庁の中でもそういう体制を取り組む必要があるのではないかと思います。 先ほど答弁の中で、医療、保健、福祉、教育及び就労等の関係部局で構成する支援体制整備検討委員会が既に設置されているということでしたが、例えば犯罪などで発達障害者が被害を受けること等を防止するためにも、消費生活に関する業務を担当する部局もこの委員会に加えるなど、発達障害者の支援にとって必要な庁内の連携、そして協力体制、これを一層充実していただきたい、そういう検討委員会を中心にそれも今後図っていただきたいことを要望して、この質問は終わらせていただきます。ありがとうございます。 続きまして、認知症対策についてお伺いいたします。 昨今、高齢化の進展ということがよく言われます。先日、六十五歳以上が日本の総人口の二一・五%、八十歳以上も七百十万人ということで、高齢化の進展に伴いこの認知症というものも身近な事象として注目を集めているところでございます。 認知症という方が一体全国にどれだけいらっしゃるのか。二〇〇五年段階で全国に約百七十万人、六十五歳以上の六・七%ということで、もちろんこの数字は介護保険を適用されていて認定された人数で、その適用を受けられている方で、この中に認知症を発症した直後の人や介護保険を申請していない人の数を合わせると約二百万人以上の人がいるのではないかと言われております。ここに今、理事者の方が三十数名いらっしゃるわけですが、六十五歳以上になると、三人から四人は認知症になっていらっしゃるという現状でございます。 これ将来もっとふえるであろうと言われておりますが、そういう中で、まだまだ認知症、突然家族が認知症になったらどうしよう、またどうしたらいいのかわからない、私も最近そういう経験もいたしました。 そういったことから、まだまだ認知症に対する認識もありませんし、また自分がちょっとこう何かおかしいなと思っても、なかなか認知症を認めたくないという、そういう方もたくさんいらっしゃいます。そういうことから、認知症の診断、また治療がおくれ、また適切なケアにつながらない。そういうことから、症状を悪化させてしまうことがあると聞きます。大変残念なことでございます。 そしてまた、従来は認知症になったらもうあかんと。また、家族にしたらもう大変やと、介護が大変やと。また、本人も、家族のお世話にならなあかん、どうしようということで、こういう否定的なとらえ方というのがありました。しかし、昨今はちょっと新聞の記事なんか見てますと、認知症になっても自分らしく生きていく、そしてそれを現実のものとして新しいものにしていくという、そういう取り組みがされているということを私も記事を読んで認識したところでございます。 こういう今後認知症の高齢者が増加していく中、認知症高齢者やその家族をみんなで支え、住みなれた地域での生活が継続できるようにしていく必要があると思います。そのためには、まず認知症高齢者等が置かれている状況を掌握し、適切に対応していく必要があると思いますし、大阪府では認知症に関する府民調査やかかりつけ医に対するアンケートを実施されたと聞いておりますが、まずはその概要と結果についてお伺いいたします。 ◎介護支援課長(平岩勝君) お答えいたします。 大阪府におきましては、昨年度に認知症総合対策事業を創設いたしまして、その取り組みの一環といたしまして、認知症高齢者の実態調査やかかりつけ医に対するアンケートを実施いたしました。 認知症高齢者の実態調査についてですけれども、これは門真市のある地域包括支援センターの管内を対象といたしまして、四千五百人程度の高齢者全員に対して全数調査を行ったものでございます。 調査結果によりますと、認知症高齢者の状況といたしまして、ちょっとした用事を頼める人が身近にいる人が少ないということや、介護保険の申請をしていない人が四分の一程度いるということなどから、身近な相談先の不足だとか必要なサービスにアクセスできていないという事例があることがわかったところでございます。 また、主な介護者に対する質問への回答を見ますと、高齢者の認知症を疑っても、実際に医療機関を受診していない人というのが四割程度いるなど、懸念はしていても具体的相談行動につながっていない状況もあることがわかったところでございます。 一方、相談などを受ける側のかかりつけ医約二百名に対するアンケートでは、多くのかかりつけ医の方が実際に認知症高齢者の診察はしているものの、一方で必要な支援といたしまして、活用できる福祉サービス、相談機関などの社会資源の情報であるとか、地域で相談できる専門医を挙げる方が多くございました。 また、早期受診のためには、介護者への認知症に関する正しい知識の普及啓発活動が必要であるという意見もございまして、家族を初めとして身近なところでの相談者の役割が重要ということがうかがわれたところでございます。 ◆(三浦寿子君) ただいまのお答えから、認知症高齢者やその家族が必ずしも相談やサービスにうまくつながっていない事例があることがわかりました。 認知症は、とりわけ早期発見が重要であります。早期発見ができれば、適切な対応へつなぐことが容易となり、認知症高齢者の症状の緩和や介護をする家族などの負担軽減につながることもあるのではないかと思います。 しかし、認知症については、先ほども言いましたように、まだまだ社会の偏見が残っており、心のバリア、そしてまたどこに相談してよいかわからないといった情報アクセスのバリアが早期発見の支障となって、適切な支援につながらないことがあると考えております。 まず、心のバリア、これを解消するためには、地域住民が認知症を正しく理解し、また認知症高齢者や家族等が地域で気軽に話し合えるような環境づくりを進める必要があると思いますが、どのような今後取り組みをされていかれるのでしょうか、お伺いします。 ◎介護支援課長(平岩勝君) 認知症は、早期発見が重要であるという議員の御指摘のとおりであると思います。そのために、認知症の正しい理解と身近な支援者の輪を広げるための取り組みを進めることが重要であると認識しております。このため、府といたしましては、国のキャンペーン事業に呼応いたしまして、認知症の正しい理解と地域や職域で認知症高齢者を見守り、その家族を含め支援する認知症サポーターというのがありますが、それと、その養成に当たりますキャラバンメイトの育成に努めているところでございます。これらの方々、既に府内で合わせて六千人以上に達しているところでございます。 ◆(三浦寿子君) 六千人の認知症サポーターがいらっしゃるということで、ただこの数をふやすというだけでは、認知症高齢者、その家族に対する具体的な支援につながらないのではないでしょうか。 また、この認知症サポーターを地域や職域で生かせる存在としてどう育成していかなければいけないかということが大事ではないかと思います。 府としてどのように取り組んでいらっしゃるのか、またどうして取り組んでいこうとしているのか。また、この情報アクセスのバリア、この解消のために適切な指導先に導く機能を確保するべきと考えますが、府として今どのように取り組んでおられるのか、お伺いします。 ◎介護支援課長(平岩勝君) まず、認知症サポーターの養成等についてでございますけれども、養成した認知症サポーターが地域で具体的な支援者として活動していただけるようにしていくことや、公共交通機関など高齢者に身近なサービスを提供している業種を中心といたしまして、職域でもそうした活動を展開していただくことが有効であると考えております。その方法について検討してまいりたいというふうに思っております。 また、相談体制でございますけれども、認知症高齢者や家族がどこに相談したらよいかわからないといった御指摘につきましては、認知症電話相談というのを府立介護情報・研修センターにおいて週二回実施して、それで認知症高齢者や家族などからの相談に対しまして、最寄りの地域包括支援センターや医療機関について案内を行っております。 また、同じ悩みを抱える家族同士が交流している団体がございます。認知症の人と家族の会という団体がございますが、これの紹介に努めるなど、相談内容に応じまして早期の対応につながるよう支援に努めてまいりたいと考えてございます。 ◆(三浦寿子君) 認知症高齢者御本人、またそして御家族が相談できる機会というのは、多ければ多いほどよいと思いますが、府立の介護情報・研修センターで実施されている電話相談の回数、これやっぱり家族にとったらよく聞いてもらいたい、聞いてもらうだけで落ちつくとかいうこともありますので、今後週二回と言わず、ぜひふやしていただきたいと要望いたします。 次に、認知症のいわゆる早期発見ができれば、次の早期対応につながることができるということでございますが、認知症は治らない病気だから医療機関に行っても仕方がないというような話も聞きます。これは誤った考え方であることも、私も最近新聞でわかりました。 認知症には、原因となるさまざまな病気があり、早期に治療することでも治せるものもあります。また、認知症の原因で多いアルツハイマー病のように、早期に治療、また投薬治療、そういうものを開始することで進行をおくらせることができるものもありますし、わかれば早い時期に自分の老後について意思表明ができるし、さらには家族も介護の準備、そういった点で生活や心にゆとりが持てるのではないかと思います。 このようなことも踏まえて、認知症高齢者や家族から相談があった場合、地域における医療機関が適切に対応できなくてはいけないと思います。ふだんから高齢者の健康管理などを担っているかかりつけ医が認知症について疑い、必要に応じて専門医療機関につなげる鑑別診断を行うような対応が必要ではないかと思います。 そこで、先ほどかかりつけ医のアンケート結果では、必要と考えている支援として、地域で相談できる専門医、これの存在を挙げたかかりつけ医が多いとのことでありましたが、この専門医との連携について府としてどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。 ◎介護支援課長(平岩勝君) 認知症高齢者や家族の方からの相談に適切に対応していくためには、日ごろから高齢者とのかかわりの多いかかりつけ医の役割が重要であると考えてございます。そのため、昨年度より社団法人大阪府医師会の協力を得まして、かかりつけ医の方の認知症対応力向上のための研修というのを実施してございます。二百四十一名の方の受講をいただきまして、認知症の早期発見、早期対応ができるように努めているところでございます。 今後につきましては、鑑別診断等を行えるよう、かかりつけ医が中心となりまして専門医療機関との連携を図っていくことが必要であると考えております。研修の場など機会あるごとに、かかりつけ医に対しまして認知症の医療を行える医療機関等の周知に努めてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆(三浦寿子君) 認知症の症状には、物忘れなどだれにも生じる共通の症状としての中核症状、中核症状に環境などの要因が加わって二次的に生成される例えばうつ状態、また徘回といった周辺症状というものがあるそうですが、家族には認知症高齢者がこの周辺症状を示すことが本当に大きな負担となっているわけです。 適切なケアや環境によって大きく改善することもできると聞いておりますが、いわゆる認知症高齢者が、環境変化に弱いという特性からすれば、早期に住みなれたいわゆる地域における介護の支援方法を確立して、在宅で介護できる環境づくりを行うことが大切ではないかと思いますが、府としてはどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。 ◎介護支援課長(平岩勝君) 認知症高齢者を支援していくためには、先ほどの医療面のサポートとあわせまして介護の質の向上を図ることも重要であるというふうに認識しております。このため、府といたしましては、適切な知識とケア技術の習得の機会を提供するために、介護従事者に対する研修を体系的に実施いたしまして、既に三千百名を超える方の受講をいただいているところでございます。 今後とも、これらの人材を活用いたしまして、認知症高齢者が、その状態像に応じて適切なケアを受けることができるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆(三浦寿子君) 認知症高齢者に対する支援というものは、今お答えがあったように、医療や介護の人材養成をそれぞれで実施するだけではなくて、これらの人材を認知症に適切に対応できる社会全体の資源として活用し、地域においてネットワーク化を図る、いわゆる面的な仕組みづくりが大切ではないかと思っております。 その際、認知症高齢者は、今都心部では特にひとり暮らしというのがすごく多くて、またそのひとり暮らしの認知症、また介護者のいない認知症高齢者の方に対して、例えば公共料金の支払いとか、行政手続の代行、またちょっとした相談、こういったサポーターの協力というものが大事ではないかな、そういうぬくもりのある地域、支え合いをつくっていこうというコンセプトのもとにこういうネットワーク化を進めていくことが大事ではないかと思います。そのために、現在、府ではモデル事業を展開されているということですが、その取り組み内容についてお伺いします。 ◎介護支援課長(平岩勝君) 本府におきましては、認知症高齢者等を支援する人材養成に加えまして、早期発見、早期対応を図るために、認知症高齢者地域資源ネットワーク構築事業というのを今年度創設いたしました。府内三地域において、府の保健所が牽引役となりまして、地域包括支援センターを中心としたネットワークを構築するための具体的なモデルづくりというのを二年間で実施しているところでございます。 具体的に申し上げますと、早期発見につきましては、地域住民による認知症に対する意識啓発ときめ細やかな見守り活動を展開するためにシンポジウムやフォーラムを開催することとしております。こうした取り組みを通じまして、その機運を高めることで地域住民の行動変容というのを促し、認知症サポーターとしての活動などを高め、認知症高齢者等の見守りや身近な相談などができるようにしてまいりたいと考えてございます。 それから、早期対応についてでございますけれども、地域包括支援センターに持ち込まれた相談事例を専門家の助言を得ながら医療や介護による具体的な支援に結びつけていく方策であるとか、認知症高齢者を地域で支えるサービス基盤の一つでありますグループホームに係る地域との連携方策について検討しているところでございます。 今後、これらの成果を生かして、認知症高齢者が住みなれた地域で安心して生活を継続できるように努めてまいりたいと考えております。 それから、府といたしましては、このモデル事業におけるこのような取り組みを通じまして、早期に発見し、正しく診断され、適切なケアやサービスにつなぐということとあわせまして、例えば社会福祉協議会が実施しております日常生活自立支援事業など、既に地域で利用されているさまざまな支え合い活動等をうまく活用しながら、認知症サポーターを核に、認知症高齢者や家族を温かく見守り支え合うネットワークの輪を広げてまいりたいと考えてございます。 ◆(三浦寿子君) 認知症という言葉が使用されるようになって二年以上が経過するきょうでございますが、認知症高齢者の方を地域で支えていこうという取り組みは、まだまだこれからでございます。 しかし、こういった中で、幾ら立派な施設、そういう支援体制があっても、本当に本人に向き合いその声を大切にする支援がない限り、必要以上に本人の状態を悪化させ、また本人と家族の社会的に過剰な負担が増大していくと言われております。 そういった中で、こういう提供型支援のあり方を見直し、認知症の人自身の主体性、可能性を大切にした利用者本位の支援を具体的に実践していくという取り組みが行われていると聞いております。 全国でそういう取り組みをされている中で、例えば福岡県の大牟田市というところでは、このいわゆる人情ネットということで見守り、そういった官民が協働して認知症の方と共存を目指すという取り組みがされていると聞いております。そういった中で、研究会も立ち上げられ、また意識調査がされ、学生との交流、さらには商店街におけるコンビニなど、そして消防や警察などにいわゆる高齢者に対しての対応をいわゆるアドバイスするなど取り組まれているという状況がございます。これは、国が進める事業のモデルとなったとも聞いております。 大阪も、ぜひこういった全国に向けた発信となるぐらいの意気込みで、今後府のモデル事業を成功させて、その成果を府内に効果的に普及させていただきたいと考えますが、どのように今後取り組まれようと考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。 ◎介護支援課長(平岩勝君) 先ほど御説明いたしました認知症高齢者地域資源ネットワーク構築事業につきましては、できる限り先導的な取り組みが府内で進められるように、それぞれの地域におきまして実際に即して検証することはもとより、府といたしまして認知症に関する専門家や実践者などから成る委員会におきまして、その成果の普及等について検討してまいりたいと考えてございます。 また、実施地域の取り組み状況等につきましても、府内市町村に情報発信をいたしますとともに、その成果を共有するために、例えば実施市とともに取り組み事例集を作成するだとか、そして配布する、それから実践報告会等を開催するというようなことを通じまして、その普及に努めてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆(三浦寿子君) 最後に、認知症高齢者というのは、先ほども大変広がっているということで、推定百七十万人いらっしゃるんではないかということですが、二〇二五年には全国で三百二十三万人に達すると見込まれております。 本当に二十年後には自分自身はどうなっているんかという、またどのようなまちになっているのか、それぞれが想像していただきたいと思うんですが、そのとき認知症高齢者は、本当にいわゆる社会の問題や負担とするのではなくて、さまざまなサポートを得ることで地域の一員としていわゆるともに社会に参画し、自立や自己実現を図れる、そういうことが日常のさまとなるようなことを願いまして、一層の大阪府の取り組みをお願いしたいと思います。ありがとうございます。 ちょっと時間が迫っておりますが、最後に虫歯対策についてお伺いいたします。 実は私の近所に、大変元気な高齢者がいらっしゃいまして、八十七歳の男性ですが、その方、いつも元気ではつらつと地域活動をされております。 その方の歯を見ますと、きれいな歯並びで、私がこれ全部御自分の歯ですかと聞きましたら、全部自分の歯やとこう言われまして、歯の健康というのはやっぱり心と体の健康というものを伴うものだということを実感させていただきました。そういう意味で、歯の健康づくりというのは、全身の健康づくりの観点ということから非常に重要であるために、この質問をさせていただくわけでございます。 今、八十歳において二十本以上の歯を保つことを目標に、八〇二〇運動が推進されております。この八〇二〇を達成するためには、もちろん幼児期と学齢期の虫歯予防と成人期の歯周病予防が非常に重要ではないかと思います。 最近、虫歯は少なくなったが歯並びが悪い子どもたちが多いと聞きます。これはいわゆる乳児期における虫歯というのが原因ということも聞いておりますが、この虫歯、この乳児期のいわゆる乳歯の虫歯を予防することにより、永久歯のいわゆる歯並びがよくなる可能性が高いと言われております。 その永久歯の歯並びがよくなると、いわゆる成人期の虫歯や歯周病予防と深く関係するために、このいわゆる幼児期の虫歯予防というのは大変大事ではないかと。その意味でも今回この質問をするわけですが、健康おおさか21においても、いわゆる幼児期の虫歯予防に関する目標値を設定されておられます。 まず、幼児の虫歯のいわゆる有病状況について、どのような目標値が設定されているのか。また、この目標値に対して大阪府のいわゆる幼児の虫歯の有病状況というのはどうなっているか、お聞かせください。 ◎副理事兼健康づくり感染症課長(松下彰宏君) 大阪府の幼児の虫歯の状況についてお答えいたします。 幼児期は、心身の発達が非常に旺盛な時期でございまして、またしつけの面でも食事や間食について正しい習慣を身につけさせる大切な時期でございます。 特に乳歯は、食物をそしゃくすることにより栄養の摂取に役立つだけでなく、委員御指摘のとおり永久歯の歯並びをよくする上でも重要な役割をしております。 したがいまして、幼児期は八〇二〇運動、言いかえますと、生涯を通じた歯の健康づくりの基礎を築く非常に重要な時期だと言えます。 健康おおさか21では、虫歯のない幼児の増加を目標値として定めておりまして、この健康おおさか21の最終年度でございます平成二十二年度までに虫歯のない一歳六カ月児の割合を九八%以上に、また三歳児の割合を八〇%以上にすることとしております。 府内の虫歯のない幼児の割合は順調に伸びておりまして、母子保健事業報告によりますと、平成十八年度の保健所設置市を除きます地域の虫歯のない幼児の割合は、一歳六カ月児で九七・六%、三歳児で七二・五%となっておりまして、健康おおさか21の最終年度には目標値をほぼ達成できる見通しとなっております。 ◆(三浦寿子君) 虫歯を予防するには、まず毎朝朝食をとる、そして間食が多くならないようにするなど、規則正しい生活習慣をいわゆる幼児に身につけさせることが必要であると思います。 虫歯のない幼児の割合は、目標達成に向かって順調に推移しているということですけれども、目標達成を確実にするためには、いわゆる幼児の歯科健診等で正しい生活習慣を身につけさせるよう保護者に対して指導することが重要ではないかと思います。 吹田市の歯科医師会におきましても、一・五歳、二歳、三歳児と健康検査を行って、そこで適切な食生活や栄養改善、こういうものを指導されていると聞いております。 大阪府内のこういう幼児を対象とした歯科保健対策のいわゆる実施状況というのはどうなっているのか、またその結果幼児の朝食、間食の摂取状況はどうなっているのか、お聞かせください。 ◎副理事兼健康づくり感染症課長(松下彰宏君) 大阪府内の幼児を対象といたしました歯科保健対策の実施状況でございますが、大阪府内全市町村で、一歳六カ月児及び三歳児を対象といたしまして歯科健診が実施されております。 また、保健所設置市を除きます三十九市町村のうち三十五市町村で、二歳児を対象に歯の健診が実施されております。そのほか四つの市町村も独自の虫歯予防教室を開催するなど、府内各市町村におきまして虫歯の予防を目的とした歯科保健事業を実施され、歯科衛生士などによりまして、例えば幼児に規則正しい生活習慣を身につけさせるようにとか、間食をして甘いものをだらだら与えないようにといった歯科保健指導が、保護者に対して実施されているところでございます。 委員お尋ねの生活習慣の状況でございますが、平成十八年度に政令指定都市を除きます四十一市町村を対象に実施いたしました標本調査では、朝食をほぼ毎日食べる三歳児の割合は九二・〇%、間食として甘いものをとる回数が一日三回以上の一歳六カ月児の割合は一七・二%となっておりまして、平成十七年度と比較をいたしますと、朝食をほぼ毎日食べる三歳児の割合は増加傾向に、間食として甘いものをとる回数が一日三回以上の一歳六カ月児の割合は減少傾向にございます。 本府といたしましては、平成九年度に母子保健事業が市町村に移管されて以降、市町村において同事業が効果的に推進されますよう、歯科診療所と連携をいたしました虫歯予防事業など先進事例を紹介しますとともに、市町村がその事業を的確に評価できる手法を指導するなど、歯科保健事業の企画、実施、評価について支援をしてまいりました。 今後とも、市町村における母子歯科保健事業がさらに効果的に推進されますよう、大阪府歯科医師会など関係団体とも連携をいたしまして、市町村に対する支援を強化してまいります。 ◆(三浦寿子君) 虫歯を予防する方法として、規則正しい生活習慣の確立というのが基本ではありますが、弗化物を歯に塗布するなどの方法を活用することにより、より効果的に虫歯を予防することができると思います。 そういう意味で、大阪府における弗化物の利用状況はどのようになっているのか、お聞かせください。 ◎副理事兼健康づくり感染症課長(松下彰宏君) 現在、弗化物の主な利用方法には、市町村保健センターや歯科診療所などで弗化物を歯に塗布してもらう方法と、弗化物が配合されている歯磨き剤を用いる方法がございます。 平成十八年度に政令指定都市を除きます四十一市町村を対象に実施をいたしました標本調査では、歯科診療所や市町村保健センターなどで弗化物の塗布を受けたことがある三歳児の割合は、五五・一%となっております。これは、健康おおさか21の目標値五〇%以上を既に達成していることになります。 大阪府におきましては、母子歯科保健事業が平成九年度に市町村に移管される以前から、府保健所において弗化物塗布事業の実施に努めまして、移管時には市町村に対しまして弗化物塗布事業を実施するように働きかけた結果、平成十八年度現在、三十一市町村で弗化物塗布が実施をされております。多くの市町村が弗化物塗布事業を実施していることが、目標を早期に達成できた大きな要因と思われます。 一方、家庭内におきまして、弗化物が配合されている歯磨き剤を使用している三歳児の割合は四九%でございました。自分自身で歯磨きがまだ十分行えない三歳児以下の場合、歯磨き剤を使用しますと、歯磨き剤の泡で子どもの歯が見えにくくなったり、あるいは唾液の流出量が多くなり、幼児が長時間口をあけていることができなくなり、保護者の方が子どもの歯を磨きにくくなることから、歯磨き剤を使用しない保護者も多いため、四九%という数字は決して低い数字ではないと考えております。 ◆(三浦寿子君) 今、三歳児歯科健診終了後も規則正しい生活習慣を継続し、弗化物を適切に用いるなど虫歯予防を継続していくためには、大切なことはかかりつけ歯科医を持ち、定期的に歯科健診を受けることが非常に重要ではないかと思います。府として、かかりつけ歯科医の普及についてどのように考えていらっしゃるのか。 また、いわゆる幼児期の虫歯予防効果を学齢期の虫歯予防、成人期の歯周病予防につなげ、健康おおさか21の目標を達成するためにも、府として関係機関、関係団体と連携をとり、今後いわゆる歯科保健対策を進めていく必要があると思いますが、どうでしょうか。 ◎副理事兼健康づくり感染症課長(松下彰宏君) 委員御指摘のとおり、虫歯を予防する上でかかりつけ歯科医を持つことは非常に重要だと考えております。 特に、弗化物の塗布など弗化物の利用につきましては、かかりつけ歯科医を持ち、幼児一人一人の虫歯の状況に応じて、かかりつけ歯科医の指示により弗化物が適切に利用されることが望ましいと考えております。 府といたしましては、今後とも市町村保健センターなどにおける歯科保健事業がより充実しますよう、大阪府歯科医師会を初めとする関係団体と連携を密にいたしまして市町村等への支援に努めますとともに、健康おおさか21推進府民会議歯の健康づくり部会活動を通じまして、府民の方にかかりつけ歯科医を持つことの意義を啓発してまいります。 また、府民一人一人に主体的に虫歯予防に取り組んでいただくために、かかりつけ歯科医に対します認識を府民の方と歯科保健医療関係者で統一しておく必要があろうかと思います。 府民の方と歯科保健医療関係者が双方意見を交換し合い、かかりつけ歯科医に対する認識を深め合うワークショップを開催いたしましたところ、その中での意見としまして、歯科医師からは、予防のために来院をしてほしいといった御意見がございました。他方、府民の方からは、虫歯がないのに歯科医院に行ったら先生の迷惑になるのではないかといった御意見があるなど、府民の方と歯科保健医療関係者の認識にずれがあるため、かかりつけ歯科医が普及しにくいという状況がうかがえました。 今後も、ワークショップの開催など啓発に努めることで両者のずれを解消することなどにより、かかりつけ歯科医機能の普及に努めてまいります。 委員御指摘の関係機関、関係団体等との連携をとった歯科保健対策の推進でございますが、府におきましては、学識経験者を初め、教育委員会や市町村、大阪府歯科医師会など関係団体、健康保険組合連合会や大阪府国民健康保険団体連合会などの代表から成ります生涯歯科保健推進協議会を開催し、関係機関や団体との連携を図っております。 今後とも、これら関係機関や団体との連携を密にし、健康おおさか21の目標達成に向けて府民の方の生涯を通じた歯の健康づくりを推進してまいります。 ◆(三浦寿子君) ありがとうございました。ぜひ、歯の健康づくりには、大切な心と体の健康づくりになると思いますので、かかりつけ医の機能の普及に全力で取り組んでいただき、健康おおさか21の目標達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。 これで私の質問を終わらせていただきます。長時間ありがとうございました。 |