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平成17年10月14日(金) 環境農林常任委員会 |
大阪府議会議事録より転載 |
◆(三浦寿子君) こんにちは。公明党の三浦寿子でございます。私の方からは、二点にわたり御質問をさせていただきたいと思います。![]() 今、日本の全国の平均気温は上昇傾向にあると言われておりまして、都市化の影響を除いて、過去百年にわたり約一度C上昇し、都市部では二倍以上の上昇が観測されております。また、月平均気温の異常高温の発生数は増加傾向にあり、逆に異常低温の発生数は減少しているなど、温暖化に特徴的な現象が生じているということでございます。また、降水量は過去百年間で五%減少する傾向が見られますという、そういう報告もございました。最近、草花を見ても、本来冬に咲く花とか秋に咲く花が早くから咲いているという、本当に環境が変わってきているというのを痛切に感じている次第でございます。 こういう状況を見ていく中で、地球温暖化による影響が本当に現実化していると思わざるを得ないという状況でございます。幸い昨年十一月にロシアが批准したことにより、京都議定書がことしの二月に発効し、全世界が一丸となって地球温暖化に取り組んでいく体制がやっと動き出しました。 日本においては、二〇一〇年から二〇一二年までの第一約束期間として、一九九〇年比で温室効果ガスを六%削減するという国際約束を果たすために、四月に京都議定書目標達成計画を策定されたところでございます。 大阪府においては、このような状況を踏まえ、先月、大阪府地球温暖化対策地域推進計画を改正するとともに、今議会に我が党がかねてから条例策定を主張してきました温暖化の防止等に関する条例案と自然環境保全条例の一部改正案を提出するなど、いち早く対応されたことに感謝するとともに、評価したいと思っております。 府の計画では、二〇一〇年度までに温室効果ガスを一九九〇年比で九%削減する目標を達成するために、温室効果ガスを七百二十五万トン削減するということになっておりますが、二〇一〇年まであと五年しかないわけです。本当に実現させることが重要であり、そのため府自身の率先的な取り組みはもちろんのこと、その進捗状況を定期的に監視測定し、府外へも積極的に公表していくという姿勢が必要であり、このようなことを通して、事業者や府民などすべての主体に目標達成に向けた取り組みを促していくことが大事であると思いますが、どうお考えでしょうか。 ◎みどり・都市環境室地球環境課長(前川佳之君) 本府の地球温暖化対策についてお答えします。 大阪府では、地球温暖化対策は、我々が子孫のために果たすべき大きな課題であるという認識のもと、一九九五年に策定した地球温暖化対策地域推進計画を二〇〇〇年に改定し、二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの削減目標を、国を上回る九%に設定して対策を推進してきたところでございます。 しかし、二〇〇二年度における排出量は、一九九〇年度と比べ、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素が約五%増加していることもあり、温室効果ガス全体の排出量では約三%しか削減できていない状況にございます。 このため、この九月に、地球温暖化対策地域推進計画を再度改定し、九%の削減を確実なものとするために、六つの項目を重点に据えて対策を推進していくこととしました。一つ目は、エネルギー多量消費事業者における計画的な対策の推進、二つ目は、自動車から排出される二酸化炭素抑制のための施策の推進、三つ目は、企業や家庭における省エネルギー行動等の促進、四つ目は、建築物の省エネルギー対策の推進、五つ目は、新エネルギー等の普及促進、そして緑の保全と創出の推進でございます。これらの重点対策を推進するため、温暖化の防止等に関する条例を制定するとともに、自然環境保全条例を改正することとし、今議会に御審議をお願いしているところでございます。 さらに、大阪府庁自身の地球温暖化対策の実行計画として、大阪府庁エコアクションプランをこの九月に策定したところでございますが、この実施状況の公表や確実な運用を目指して、現在、国際規格でありますISO一四〇〇一による全庁的なマネジメントシステムの構築を進めているところでございます。 本府を初め市町村、事業者、府民、NPOなどの各主体がそれぞれの役割を果たしつつ連携し協働することにより、計画に基づく対策を確実に推進し、目標達成に努めてまいります。 ◆(三浦寿子君) 今挙げられました重点対策の一番目のエネルギー多量消費事業者における計画的な対策の推進のために、今回温暖化の防止等に関する条例が提案されていると思いますが、どのような事業者が条例の対象となるのか。また、それによりどのくらいの効果が期待できるのでしょうか。 ◎みどり・都市環境室地球環境課長(前川佳之君) まず、条例の対象となる事業者についてでございます。 産業部門では、府域において石油やガス、電気などのエネルギーを年間で原油に換算して千五百キロリットル以上使用する省エネルギー法の対象となる事業所を持つ事業者、次に運輸部門では、府域に使用の本拠を有するトラック、バスなどの自動車を百台以上使用する事業者、さらに三点目といたしまして、コンビニエンスストアなど府内の店舗等の合計エネルギー使用量が原油に換算して千五百キロリットル以上となる二十四時間営業を常態とする事業者を対象にすることとしており、事業者の数は全部で八百社程度になるものと見込んでおります。 対象となる事業者においては、条例に基づき、工場における生産活動、事務所や店舗における営業活動、自動車の使用など、府域におけるすべての事業活動に伴い排出される温室効果ガスについて、削減のための計画書を作成し府に届け出てもらうとともに、計画書に沿って削減した結果についても、実績報告書としてまとめ府に届けてもらうことになります。 次に、条例による効果でございますが、これらの条例の対象となる事業者のうち、先ほどの産業・業務部門におけるエネルギーを原油換算で千五百キロリットル以上使用する省エネルギー法対象の事業者の削減分だけで、地域推進計画で削減することとしております温室効果ガス排出量七百二十五万トンのうち四分の一の削減を見込んでおります。 温暖化条例では、その他自動車などの物流対策や、中小の事務所や店舗における対策、建築物の新増改築に際しての環境配慮など幅広く対策を求めており、これらも考慮すると、必要削減量の四分の三について条例による効果が期待でき得るものと考えております。 ◆(三浦寿子君) 条例では、対象となる事業者に温暖化対策の計画書や対策の結果の実績報告書の作成を求めており、府に届けてもらうことにより地球温暖化対策を促進するということですが、これで今おっしゃいました事業者の数、約八百社がそれぞれ本当にその対策を進めていけるのか。また、府は事業者に対して指導助言などもしっかりとやっていく必要があると考えますが、府のお考えとしてどうでしょうか。 ◎みどり・都市環境室地球環境課長(前川佳之君) 条例に基づく事業者への対策、実効性の確保についてお答えします。 温暖化の防止等に関する条例案における温室効果ガスの排出及び人工排熱の抑制に係る対策につきましては、事業者の自主的な取り組みを促進することを趣旨としており、排出基準や遵守義務は設けておりませんが、条例に基づき知事が定める温暖化対策指針において、温室効果ガスの排出量として年率で一%の削減を目標として掲げることとしております。 事業者は、この削減目標をもとに温暖化対策の計画書を作成することとなりますが、事業者から届け出がなされた対策計画書や実績報告書につきましては、内容が指針に照らして適切であるかどうか、また対策が事業者の計画どおり進んでいるかどうかについてチェックし、必要に応じ助言や指導を行ってまいります。 また、条例の実効性を確保するため、今後規則の制定や指針などを作成するに当たりましては、事業主や建築主の自主的な取り組みが促進されるよう留意するとともに、パンフレットの作成や説明会の開催を通じ、事業者などに十分御理解いただくよう取り組んでまいります。さらに、計画書の未届け等に対して勧告するとともに、勧告拒否には氏名公表を行うこととしております。 ◆(三浦寿子君) 条例の目的が徹底されて十分に機能するようにするためには、しっかりとした運用体制を築くことが重要であることは、ここで改めて申しつけておきたいんですけれども、運用開始までに十分にその内容も検討していただきたいと思います。 しかし、地球温暖化対策の推進は条例だけで達成できるものではございませんし、条例の対象とならない中小企業や府民の活動により排出される温室効果ガスの量、これも表を見ましたら、民生業務部門や民生家庭部門のCO2排出量が四割も占めている状態でございます。この量も大変多い量を示してるわけですけれども、中小企業に対しては今後どのように温室効果ガスの排出削減策を求めていかれるのでしょうか。 ◎みどり・都市環境室地球環境課長(前川佳之君) 大阪は中小企業が多いことから、お示しのように、中小企業における地球温暖化対策も重要であると考えております。 中小企業の地球温暖化対策を促進させるためには、みずから環境の保全に関する計画を策定してそれに取り組み、その結果を点検評価し、必要に応じ計画を見直すことにより継続的に環境改善を図るという仕組みであります環境マネジメントシステムの普及が重要であると考えております。 環境マネジメントシステムといたしましては、国際規格でありますISO一四〇〇一以外に、中小企業でも容易に取り組むことができる簡易版のシステムといたしまして、環境省主導で策定されたエコアクション21のほか、民間団体が提案しているエコステージ、KESなどがございます。 大阪府では、これら環境マネジメントシステムの導入を促進するために、まず中小企業を対象とした普及セミナーを地元の商工会議所などと連携して開催しているところでございます。さらに、企業の事業形態や事業規模に応じた環境マネジメントシステムの構築に役立つ情報をわかりやすく提供するためのホームページを今年度じゅうに設けることといたしております。そのほか、省エネルギー対策の事例などを紹介していくとともに、今後、温暖化防止条例の運用により得られましたすぐれた取り組み事例などの情報の提供に努め、中小企業の地球温暖化対策を支援してまいります。 ◆(三浦寿子君) 今、お答えがありましたように、ぜひ中小企業を対象とした取り組みというものを積極的に、この環境農林水産部が商工会議所と直接話して進められてきてると聞いておりますが、協力していただく商工会議所をさらに拡大していっていただきたいと思います。 次に、府民の地球温暖化防止に向けた行動の促進でございますが、一人一人、一世帯当たりの効果はわずかでも、多くの人々が取り組めば大きな効果が生じることから、府民一人一人の意識を高めるため、そういった啓発活動というのは意義が大きいものと考えます。そのため、地元と密着した施策が行える市町村と十分に協力体制をとっていくということは重要な要素ではないかと思いますし、地球温暖化防止のための各種キャンペーンやイベントを展開していくことが今後ますます必要ではないかと考えます。 さらに、環境にかかわるNPO団体はたくさんございますが、その役割も重要であり、NPOの提案などを尊重することはもとより、むしろNPOを含めた府民運動を前面に立てた方が実のある運動につながると思います。今後、各主体の連携のもと、どのように府民に目を向けた地球温暖化対策を行っていこうとされているのか、お伺いしたいと思います。 ◎みどり・都市環境室地球環境課長(前川佳之君) 地球温暖化対策の府民への啓発と各主体の連携についてお答えします。 まず、府民への啓発につきましては、これまでも地球温暖化対策推進法に基づく啓発・広報機関として大阪府みどり公社に設置しました地球温暖化防止活動推進センターを初め、市町村やNPO、事業者などの協力を得て行ってまいりました。適正冷房を前提に夏の軽装を呼びかけるエコスタイルキャンペーンや、家庭での電気やガスの使用量を環境家計簿でチェックすることによって家庭における省エネルギー行動を推進する省エネライフキャンペーン、小売店に対して省エネラベルの店頭表示を促し、家庭への省エネ製品の普及を推進する省エネラベルキャンペーンなど、いろいろなキャンペーン運動やイベントを行ってまいりました。 次に、今後より多くの府民が省エネルギー行動に取り組み、それを継続するためには、お示しのように、これらの府民への啓発運動を総合的に展開していく必要があると考えております。それには、地域に密着した取り組みが行える市町村の役割が重要であることから、府と市町村との間で定期的に情報交換を行い、先進的な取り組みが市町村にも広まっていくよう働きかけてまいります。 さらに、府、市町村、府民、事業者、民間団体が協働して環境に係る施策を推進することを目的に設置しております豊かな環境づくり大阪府民会議なども活用し、NPOを初め各主体で力を合わせ協働して、環境に配慮した商品の購入促進やノーレジ袋を呼びかけるキャンペーンなどの実践活動、普及啓発活動に取り組んでまいります。 ◆(三浦寿子君) ぜひ府や市町村、NPOなどが力を合わせて広く府民運動を展開するなど、地球温暖化防止に向けた取り組みを推進してもらいたいと思います。 なお、このような運動を進めていくためには、先ほども言いましたが、府民やNPO、また各種団体の提案や意見を十分に聞いていくべきではないかと思いますし、また豊かな環境づくりのためには、多くの人たちが関心を持っていただき、また意識も高め、また取り組んでいっていただくということが一番早い取り組みかと思います。そのためにも、府民参加型、また提案型の事業展開が必要でありますし、またその事業に対して行政が支援する仕組みづくりの充実が大切だと思いますので、今後この取り組みをしっかりやっていっていただけたらありがたいと要望して、この質問は終わらせていただきます。 続きまして、アスベスト対策についてお伺いいたします。 ことし六月に、関西の大手のユーザー企業が記者会見し、その社員や周辺関連会社の従業員の肺がん、中皮腫といったアスベストによる健康被害の報道がありました。それから連日新聞で報道されていますように、今に至って再びアスベストの被害というものと現実のアスベストの怖さというものが改めて知らされるという現状がわかってまいりました。 このアスベスト問題については、アスベスト製品の製造工場や建築物の解体作業現場における労働者の健康被害だけではなく、労働者の家庭や、また周辺住民の健康問題へと拡大しているのが現状です。また、アスベストを含む製品、これも三千種類ぐらいあると私も聞いておりますが、化学プラントや発電所等多くの工場で利用されているとともに、私たちの身近な家電製品にも使用されており、アスベストは職場から日常生活の場に及ぶ生活そのものにかかわる問題であると考えております。 ある本で、アスベストというのはキラーファイバーと言われ、静かな時限爆弾と呼ばれておるということで、吸入した人に、アスベスト肺、アスベスト関連肺がん、悪性中皮腫など死に至る健康障害を発生させる危険性があるということで、今までは大変利便性のいい、安価で多く入るということで好都合に使われていたわけですが、これが一転して、本当に恐ろしい、いわゆる悪魔というか、殺人の粉じんというか、そういうものに変わってきたというふうに感じております。このような大切なことでございますので、今回はこのことについて深くお伺いしたいと思います。 このような健康にかかわる問題に対して、府とか国や市町村、さらには民間団体と連携して、これからはさらに迅速で効果的な情報の提供が求められることはもちろんですが、過去を振り返ってみますと、昭和六十二年に学校施設の吹きつけアスベストとその除去工事が社会問題となりました。いわゆるアスベストパニックとか、そういう状況になったようです。平成元年には、アスベスト製品製造工場に対する大気汚染防止の規制措置が講じられ、その後、平成八年に建築物の解体作業等に伴う飛散防止対策を導入する大気汚染防止法の改正など法令が整備されてまいりました。東京都や兵庫県、横浜市などにおいても、アスベストを使用する建築物の解体等の作業に対して、法の規制対象を拡大して条例で規制してきたところのようでございます。 まず、この法改正の動きと、それに対して府が取り組んできた対策はどのようなものだったのでしょうか、お伺いしたいと思います。 ◎環境管理室事業所指導課長(木許健治君) お答え申し上げます。 アスベスト対策につきましては、国の規制に先立ちまして昭和四十六年に制定されました大阪府公害防止条例により、アスベスト製品の製造工場に対しまして、事前の届け出、排出基準や設備基準の遵守等を義務づけまして規制指導を行ってまいりました。 昭和六十二年、学校等におけるアスベストの問題が大きな社会問題となりまして、同年九月に、全庁的な取り組み体制といたしまして大阪府アスベスト対策検討委員会を設置し、吹きつけアスベストの使用実態の把握や府有施設の改修工事、そしてアスベスト廃棄物対策等を進めてまいりました。また、それぞれの分野における対策指針やマニュアルを策定いたしますとともに、多岐にわたる取り組みを総合的に推進するため、平成二年にアスベスト対策基本方針を策定し、これをもとに排出事業者への指導、建築物所有者等や府民への啓発等を進めてまいりました。 平成元年六月に大気汚染防止法が改正され、アスベスト製品の製造工場に対する法律の規制が初めて導入されたことにより、アスベスト製品の製造工場に対しまして、敷地境界におけるアスベスト濃度基準の遵守等につきまして、府は立入検査等を行ってきております。平成六年三月には、大阪府生活環境の保全等に関する条例を制定いたしまして、大気汚染防止法の規制にかからない小規模な製造工場に対しましても、規制指導の徹底を行ってきたところでございます。 さらに、平成八年五月に大気汚染防止法が改正されまして、吹きつけアスベストが使用されている建築物を解体、改造、補修する作業で一定規模以上の場合に、事前の届け出や作業基準の遵守につきまして規制指導を実施しております。そして、昨年十月に労働安全衛生法施行令の一部改正が行われまして、アスベストを含有する建材や工業製品十品目の製造、使用等が禁止され、本年二月には新たに石綿障害予防規則が制定されたところです。 これらの動きを受けまして、本年二月に、庁内関係各課により構成する大阪府アスベスト対策連絡会を設置いたしまして、アスベスト対策基本方針の策定や石綿障害予防規則の関係団体への周知など取り組みを進めてまいりました。 今般、府民のアスベストに対する健康不安が急速に広がっていることから、アスベスト対策推進本部を設置いたしまして、全庁的な取り組み体制を構築し、府民相談窓口としてアスベストホットラインの開設や国に対する緊急要望を行いまして、環境対策、健康対策、府有施設管理対策など、府民の安全と不安解消に向けた取り組みを進めているところでございます。 ◆(三浦寿子君) 今、府の対策の報告を受けましたが、本当に国の動きに沿って速やかに今回も対応されてきたことは評価したいと思いますが、例えば東京都においては、国の対応に先んじて、平成二年三月に建築物等の工事に伴うアスベスト飛散防止対策指導要綱を策定し、平成六年七月にはこの指導要綱の規定内容を東京都公害防止条例に組み入れるなど、建築物等の工事に伴うアスベストの飛散防止対策の徹底を図っております。 さらに、横浜市におきましても、平成十五年四月に石綿排出作業による大気の汚染の防止に関する指導基準というものを設けておりまして、石綿を含有する断熱材、保温材、石綿布等が使用されている建築物の解体の際の除去処理、さらに石綿を含有するセメント建材が使用されている建築物の解体の際の処理など、こういった指導基準を国に先駆けて制定されております。 私は、素人目で見ていく中で、平成八年から現在に至るまで大阪府が独自の対策を立ててこられなかったことに対して、ちょっと残念な思いがいたしました。これを一言言わせてもらいまして次に入ります。 さらに、府民のこういうアスベストに対する健康不安というものを早期に解消するためには、発生源や環境の実態を掌握し、早急に情報提供することが重要と考えております。 府は、アスベスト製品製造工場に関して立入検査や測定を実施するとともに、工場の多い地域−−阪南市、泉南市における環境大気中のアスベスト濃度を測定されております。また、府域の三十二地点で大気環境中のアスベスト濃度の実態調査を実施していると聞いておりますが、この調査結果の内容と公表について、また今後三十二地点の実態調査ということで、この場所の選定方法も含め説明をお願いしたいと思います。 ◎環境管理室事業所指導課長(木許健治君) 府民の不安解消のためには、御指摘のとおり迅速な情報提供が非常に重要であると認識しております。 このため、アスベスト製品製造工場に関しましては、法、条例に基づく届け出施設を有する府内十四工場に対しまして、七月五日から八月二日まで立入検査、測定を行いまして、その操業中の八工場すべてが敷地境界基準を遵守していることを確認し、その結果につきまして八月十日に公表いたしました。 また、過去にアスベスト製品を製造していた府内九十一工場については、七月から八月にかけて市町村の協力も得まして現地調査等を行い、当時ありました工場の名称、所在地、アスベスト製品の製造状況等を九月の二日に公表いたしました。そして、アスベスト製品製造工場が非常に多い泉南市と阪南市域におきまして、八月後半に大気中のアスベスト濃度の測定を行いまして、その測定結果につきましては、WHOのアスベストに係る環境保健基準と比べ十分低い濃度であったことをあわせまして九月二日に公表いたしました。 さらに、府域の大気中アスベスト濃度の実態調査につきましては、アスベスト粉じんの発生源が建築物の解体を初めとしてさまざまなものが考えられるため、住宅地域や商業地域、工業地域といった土地利用の状況と市町村間のバランスを考慮いたしまして、三十二の調査地点を選定いたしまして、府域の大気中のアスベスト濃度を把握しようとするものでございます。この調査につきましては、十月上旬から測定を開始しております。そして、この結果につきましても、まとまり次第速やかに公表してまいりたいと存じます。 ◆(三浦寿子君) この公表結果についてもちょっと後で言わせてもらいたいと思うんですけれども、建築物の解体等におけるアスベストの飛散防止対策を強化するため、大阪府生活環境の保全等に関する条例の改正案が今回提案されております。 改正条例案では、すべての建築物の解体等の工事について、事前に設計図書を確認するなどの方法でアスベストの使用状況を調査することを義務づけられておりますが、しかし建設年次の古い建築物や所有者が変更されているような場合など、設計図書が残されていない場合や変更になっている場合も多いと聞きます。このような場合にはどのようにしてアスベストの使用状況を調査されるのか、伺いたいと思います。 また、改正条例案では、事前調査が実施されず、または調査結果の表示が行われていない場合に、条例の実効性を確保するための担保措置についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。 ◎環境管理室環境保全課長(武村憲二君) アスベストの使用状況の事前調査につきましては、設計図書や目視によりアスベストの有無の確認を行うことを基本といたしております。しかし、委員お示しのように、設計図書が残されていない場合など、これらの方法ではアスベストの使用の有無を明らかにできない場合には、建築材料の一部をサンプルとして採取し、アスベストの含有状況を分析する方法によることとしております。また、建築材料の分析を行わずに、安全側に立って、アスベストが使用されているものとみなして工事を施工することも認めることとしております。こうしたことによりまして、アスベストの使用状況を踏まえた適切な飛散防止対策が図られるものと考えております。 次に、事前調査の実施などの実効性を確保するための担保措置につきましては、解体等の工事現場への立入検査により、事前調査の実施や調査結果の表示について確認を行い、不適切な場合は勧告を行うことができる旨の規定を設けております。また、届け出が必要な石綿排出等作業に該当することが判明したにもかかわらず、届け出をせずに工事を実施した場合には、届け出違反として罰則の対象といたしております。これらの勧告や罰則の規定の適用を厳格に行うことによりまして、条例の実効性を確保してまいります。 ◆(三浦寿子君) 改正条例案では、事前調査の結果、アスベストが使用されていることが判明した建築物等の解体、改造及び補修の工事が対象となっておりますが、改造・補修工事の場合はアスベストを事前に除去しない場合も多く、特に小規模な改造・補修工事についてはその傾向が強いと伺います。吹きつけアスベストについては除去することが最も効果的な対策であると考えますが、改正条例案では改造・補修工事についてどのような基準を設けようとされているのでしょうか。 ◎環境管理室環境保全課長(武村憲二君) お尋ねの基準でございますが、委員お示しの小規模な改造や補修工事を含め、建築物等の改造または補修工事に係る作業基準としまして、吹きつけアスベストにつきましては、除去を行う措置、吹きつけアスベストが露出しないように建材等で囲い込む措置、そして吹きつけアスベストの表面に薬液を塗布することによって封じ込める措置、これらの三つの措置を定めることといたしております。 ただし、吹きつけアスベストの劣化が著しい場合や下地との接着が不良な場合は、除去することのみを認めることといたしております。また、囲い込みや封じ込めの措置を講じた場合は、その後の管理が重要となりますことから、適正に維持管理されるよう指導してまいります。 ◆(三浦寿子君) 我が党は、さきの代表質問において、吹きつけアスベスト廃棄物の発生量や処分の現状を踏まえた処理の見解を質問いたしました。これに対して、府内で発生する年間一千四百トンのアスベスト廃棄物が近隣府県で埋立処分されており、生活環境の保全等に関する条例の改正後はすべての除去工事を府が掌握できることから、事業者へ適正処理の指導を徹底するとの環境農林水産部長の答弁を得たところでございます。 しかし、改正条例が施行されるまでは、大気汚染防止法で規定されている一定規模未満の除去作業に伴って発生する廃棄物の処理状況を現場ごとに掌握することが困難であると考えます。現在、どのように対応されているのか。また、不法投棄なども心配なんですが、どのように対応されているか、お伺いしたいと思います。 ◎循環型社会推進室産業廃棄物指導課長(松本壽之君) 条例施行まで、一定規模未満の吹きつけされた飛散性アスベストの除去作業が本府に届けられることなく実施されることはお示しのとおりでございます。このため、石綿障害予防規則に基づきすべての除去作業の届け出を審査、受理しておられる労働基準監督署から情報提供いただき、当該事業者に対しまして、廃棄物処理法で定められている産業廃棄物管理票の交付を初め、管理責任者の設置、委託先の収集運搬や処分場の許可の有無の確認等、適正処理を指導しているところでございます。今後とも、関係機関との連携による情報収集に努めますとともに、飛散性アスベストの廃棄物の適正な運搬や処分の指導を徹底してまいりたいと存じます。 また、不法投棄などいわゆる産業廃棄物の不適正処理対策につきましては、早期発見、早期指導が有効であることから、監視指導体制の強化や関係機関との連携、府民参加による監視など、さまざまな対策を講じているところでございます。今後とも、あらゆる手段を講じまして不適正処理の撲滅に努めてまいりたいと存じます。 ◆(三浦寿子君) 次に、処理計画についてお尋ねします。 吹きつけアスベスト廃棄物の発生量につきましては、府内で年間一千四百トンが発生しているということです。当面は増加するとのことであり、処分場についてはかなり長期的にしっかり見きわめていく必要があると考えます。アスベスト廃棄物については、本年度が目標年度である現在のいわゆる廃棄物処理計画にも一定の対策が盛り込まれておりますが、今後どう対応していくのか、お伺いしたいと思います。 ◎循環型社会推進室産業廃棄物指導課長(松本壽之君) お示しの現在の廃棄物処理計画につきましては、平成十三年度に、十七年度を目標年度といたしましてアスベスト廃棄物も視野に入れ策定したものでございます。この計画に基づきまして適正処理を推進してきたところでございます。 処理計画につきましては、来年度におきまして、目標の年度である十七年度の処理実態調査と将来予測を実施いたしまして、二十二年度を目標とした次期計画を策定する予定でございます。この中で、アスベスト廃棄物についても、無害化処理施設の状況や処分場の残余容量などを見据えながら、適正処理のさらなる推進を図ってまいります。 ◆(三浦寿子君) 来年度に予定している次期廃棄物処理計画の策定時には、当面増加するアスベスト廃棄物の適正処理が確実に担保できるよう、実態を踏まえて十分検討するように要望しておきたいと思います。 また、アスベストについては、使用されている建物の調査結果のほか、ドライヤーやトースターなど、私たちの身の回りにある身近な家電製品にも多く使用されていることが公表されております。こういう健康に本当に密着する問題であるにもかかわらず、具体的に知りたい情報が十分でないと感じている府民はたくさんおられると思います。私も今回、この問題に対していろいろ資料等、また情報等も見させていただきました。ここから一府民の視点で課題と要望をお願いしたいと思います。 先ほどもありましたように、アスベスト製品製造工場に関して立入検査や測定を実施されたということで、九十一施設を実態調査されたということで報告もホームページに出ておりました。しかしながら、この石綿製品製造状況、この中でも、現在工場は運転作業してるけれども、石綿はもう使うのは中止されたという施設もございます。もちろん、この調査結果報告の一覧にも、そういう事業者が五つほどここに列記されているわけです。 何回かお話しさせていただいた中で、平成十七年度までアスベストを使用してたという実態があってこの調査をされたんですけれども、その建物の中、工場があるわけですから建物があるわけです。その中でのいわゆる飛散されたアスベストが残ってるのではないかとか、私たち一般市民はそういう危惧をします。しかしながら、今回のこの立入検査の中では、この使用中止に関しても敷地境界測定結果は出されてませんし、これがホームページに出てたら、府民が一般にホームページを見たときに、もう使用されてないから大丈夫ということではなくて、やはり普通は心配するのが当然かなというふうに思うんですが、どうでしょうか皆さん。 それと、さらにホームページをいろいろ見てる中で、大阪府有の建築物、これに関してもデータが出されておりました。しかし、普通の府営住宅に住まわれている方におかれましても、含有物はあるということであるけど、どこにどういう形であるのか、その情報も列記されていないのが事実でございます。 さらに、パンフレットも事実六万部刷られているそうです。これはすごい早い対応で感謝してるわけでございますが、六万部しか刷られていない−−六万部も刷ったというのと、六万部しか刷られていないのかという不安も私たちにはございます。 それともう一点、重要なことがございました。実は私、大阪府庁のホームページを一番先に開いたときに、東京都におきましては、しっかり東京都アスベスト情報サイトというのが一番初めに出てきます。さらに、兵庫県におきましても、アスベスト対策についてという、ホームページの一番初めに出てきました。しかし、大阪府においては、アスベストに関する健康相談についてということしか出てなくて、いわゆる総合的な、今大変重要なときやのに、表にそれが出てきていないというのは、私は、これは情報を知りたくてもなかなか検索できないのが現状じゃないかなと一般の市民の目で見させていただきました。こういう情報の提供ということは本当に大事なことですから、やはり市民の立場に立って情報提供はぜひしていただきたいと思いました。 さらに、今回このアスベストに関して対策協議会が設置されたということで、五部局にわたってそういう対策本部が設置されているということでございますが、そういった中でも横の連携は大事かなと思いました。 冒頭に申しましたように、やはり大阪府が独自の対策をまず先頭を切って立てていくべきだと思います。私は、今回質問の中にも、建築物所有者にもアスベスト使用の有無の掌握義務は要るのではないか、解体の有無にかかわらず早急に飛散防止措置を図るよう努力義務を設けることが大事ではないかと、建物の管理者責任義務というものもちょっと言わしてもらってたんですけれども、石綿対策予防マニュアル、これは事業者の責任ということで返されてしまったんですが、先日新聞で、住宅も対策義務化ということで、国交省の方針で、除去や飛散防止を普通の住宅やマンションの管理者にも義務づけるということで、来年の通常国会で建築基準法改正を目指すという新聞報道もありました。これを質問したときに、それは建築基準法やから−−ちょっと私の誤解もあるかもわかりませんが−−建築都市部との連携も要るということは言われましたけれども、やはりそういうことも早急に考えて、部局を超えた形で対策本部でしっかり連携をとりながら、いち早い大阪府の対応をしていかなければ、中皮腫の死亡者も全国で一番多いということですから、その対策は先陣を切ってやっていただかなければいけないのかなと思います。 そういう意味でもしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、知事が、アスベスト問題を将来に先送りすることがあってはならないことは御指摘のとおりであるということで、前回、本会議の一般質問でお答えになっておられました。本府では、国の対応を待つことなく率先して問題解決に取り組むというスタンスで、被害の未然防止と府民の健康確保に全力を尽くしてまいりたい、こういう思いがありました。私は、知事がそうおっしゃってるならば、やはり全力で取り組んでいっていただきたいと、そういう思いでいっぱいでございます。 最後に、この今回の対策に関しまして、府の今までの取り組みの評価とこれからの方針なりを部長の方から一言お願いしたいと思います。 ◎環境農林水産部長(草川大造君) アスベスト対策についてでございますが、大阪府におきましては、大気汚染防止法の規制に先駆けまして、昭和四十六年に大阪府公害防止条例によりましてアスベスト製品製造工場に対する排出規制を開始いたしますなど、先ほど不十分だというふうな御指摘がございましたが、各般の取り組みを進めてきたところでございます。 一方、アスベスト対策につきまして、国におきまして今日まで総合的な対策が余りとられずに、結果として後手に回ったということは、残念ながら国においても否定し得ないのではないかというふうに考えております。 こうした中で、本年六月末に尼崎市におきましてアスベストの健康被害が公表されて以降、委員ただいまお示しのとおり、府民生活全般にかかわる緊急かつ重大な問題としてアスベスト問題が急浮上してきたところでございます。 そのため、大阪府では、知事の指導のもとに、全国に先駆けてアスベスト対策推進本部を設置をいたしまして、ホットラインの開設あるいは緊急肺がん検診、アスベスト製品製造工場への立入検査、さらには今回議会に提案をさせていただいております生活環境の保全等に関する条例の一部改正案、こういったものなどを、府民の不安解消や被害の未然防止に向けまして、国の対応を待つことなく取り組みを現在進めているところでございます。 アスベストにつきましては、生産につきましては国においておくればせながらいろんな規制がなされておりますし、また間もなく全面禁止ということになろうかというふうに考えております。私どもが今やらなければならん課題は、今まちじゅうにありますアスベストからいかに府民の健康を守るか、それからそうしたアスベストがいかに適切に処理をされるかと、こういうことであろうかというふうに考えております。 今後とも、私どもといたしましては、府民の健康被害の防止を最優先に考えまして、ただいま委員からお示しのございました、多数の方々が出入りする公共的な建築物ではどこにアスベストがあるのか、あるいはないのか、そういうことを表示すべきだと、あるいは大阪府のホームページが不十分であるといった御指摘をちょうだいしたわけでございますが、そういったことも踏まえまして、あらゆる対策を総合的に対策本部等を通じまして展開をしてまいりたいと、それに全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。どうかよろしくお願い申し上げます。 |